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更新日:2013年1月15日

特集

平成18年版

特集 バイオマスエネルギープロジェクト

バイオマスエネルギープロジェクトは、休耕田や耕作放棄地等を活用して、ナタネ、ヒマワリ等の油糧作物を栽培し、大気中の二酸化炭素を増加させないバイオディーゼル燃料(BDF)を生産・利活用し、油糧作物の葉・茎等の廃棄物を循環利用することにより、循環型社会経済システムの形成、地球温暖化の防止、農地の保全ほか、美しい景観形成等による都市と農村の交流、農村における雇用の創出等による地域の活性化等を図るものです。

バイオマスエネルギープロジェクト

図1 バイオマスエネルギープロジェクト概念図

プロジェクトの経緯

バイオマスエネルギープロジェクトは、愛媛県科学技術振興会議において15年度の共同研究基礎調査事業として採用されたもので、平成15年度に経済産業省の補助金を受けて実現可能性調査を実施し、平成16年度にこのプロジェクトを主要施策として位置づけた「えひめバイオマス利活用マスタープラン」を策定し、産・学・行の研究体制の構築を行いました。

平成17年度にはプロジェクトの具体化に取り組むため、環境省、農林水産省の委託・補助を受けて、愛媛大学や地元企業等との産・学・行の連携のもと、「BDFの製造に係る新技術の開発」、「油糧作物収穫機械の改良・廃棄物の再利用に係る技術開発」等の実証試験やシステムづくりに取り組み、平成18年度からは17年度に行ったBDF製造装置やヒマワリ収穫用コンバインの開発成果を踏まえ、市町が主体となったモデル地域でプロジェクトの具体化を進めています。

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平成17年度技術開発の概要

バイオマスエネルギープロジェクトは、循環型社会システムの構築、農地の保全、地球温暖化の防止、地域の活性化等の効果が大きいとされる中、プロジェクトの実施にはコスト低減や技術上の課題解決に向けた新技術開発が必要とされてきました。そのため、平成17年度には国の委託・補助を受け、課題解決のための実証試験を実施し、市町のモデル事業に試作機を貸し出す等、広く成果の啓発・普及に努めています。

なお開発した技術については、特許を共同出願しています。(特願2006-21774、特願2006-79759、特願2006-79760)

固定触媒法によるBDF製造技術開発

現在主流となっているBDF製造技術は植物油脂と水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、メタノールを一つのタンクに入れて反応させるものであり、バッチ式で効率が悪く、製造工程が複雑であることや、反応後の触媒の分離やアルカリ廃液が発生する等の問題点があります。

このため、カルシウム系化合物を使った固定触媒およびこの固定触媒を充填した反応塔に植物油脂とメタノールの混合物を通すことにより連続的に反応させる技術を愛媛大学、レボインターナショナル株式会社と共同で開発し、試作機(精製能力2L/1h)を製作しました。

開発した固定触媒は、メタノールに溶けないため反応後の触媒の分離が容易に行え、発生するアルカリ液も従来のものと比べ少なくなっています。またこの装置で精製したBDFは欧米規格を十分満たしており、触媒も繰り返し利用することができます。

創立総会会長あいさつ

図2 開発したBDF製造装置

表1 試作機で製造したBDFの性状

項目

EU規格

アメリカ規格

試作機

エステル含量(%)

96.5以上

-

98.9

密度(15℃:g/cm3)

0.86~0.90

0.88

0.88

動粘度(mm2/s)

3.5~5.0

1.9~6.0

4.3

引火点(℃)

120以上

130以上

170

水分(mg/kg)

500以下

500以下

248

メタノール(%)

0.2以下

-

0.003以下

酸価(mg KOH/g)

0.5以下

0.8以下

0.4

ヨウ素価

120以下

-

118

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ヒマワリ収穫機

油糧作物用のひまわりは、観賞用のものとは異なり、背が高く、茎も太く、花柄も大きいため、通常のコンバインでは収穫できず、労働コストや収穫ロスが問題となっていました。

今回、井関農機株式会社と開発した収穫機は、小区画圃場においても効率的に収穫でき、収穫ロスが5%以下、悪条件の圃場でも10アールあたり60分程度で収穫できる能力を持っています。また刈り取った茎もクローラーでつぶすことなく整列して排出されるため、これまで圃場にすき込まれていた茎葉も有効利用しやすくなりました。

開発したヒマワリ収穫機

図3 開発したヒマワリ収穫機

収穫されたヒマワリの種子

図4 収穫されたヒマワリの種子

表2 ヒマワリ収穫機の性能

主要寸法

全長4.94m 全幅1.97m 全高2.5m 重量2570kg

走行部

エンジン出力 25.7kw/2700rpm
ゴムクローラ式(変速装置:無段階変速式・前後進)

刈取及び脱穀作用部

茎整列装置有り
種子を回転式こぎ胴にて脱穀、揺動・風選方式で選別
種子貯留タンク装備(容量800L)
種子排出装置(エアー排出方式)

作業精度

脱穀選別損失率 5%以下
夾雑物割合 3%以下
刈取り頭部損失率 5%以下
茎葉カット率 95%以上

作業能率

実測作業能率 10aあたり39~56分

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茎葉の循環利用

地域内での総合的なバイオマスの循環利用を進めるため、ヒマワリの葉・茎等の廃棄物の利用について検討を行いました。

  • (1)バイオエタノール
    ヒマワリの茎葉がバイオエタノール原料として利用できるかを調べるため、木質バイオマスのエタノール変換で利用されている前処理方法(濃硫酸法、酵素法)によりエタノール発酵試験を行った結果、酵素法より濃硫酸法で処理したものの方が糖転換率は高く、エタノールも精製できることがわかりました。
  • (2)堆肥化
    ヒマワリの茎葉をチッパーで粉砕後、水分調整用に等量のモミガラを添加しながらよく踏み込み、切り返しを1ヶ月に1回実施して堆肥化試験を行いました。ヒマワリの茎葉は、生育ステージが早いほど腐熟が進みやすく、茎葉を1ヶ月以上堆積することで、ヒマワリの茎葉に含まれる成長阻害物質の影響もなくなり、堆肥として使用できます。また、ヒマワリ茎葉に鶏ふんを混合堆肥化すると、80日程度で良質な堆肥を作ることが可能となり、鶏ふんの割合を変えることで、様々な成分量の堆肥ができることを確認しました。

ヒマワリの茎葉を使った堆肥

図5 ヒマワリの茎葉を使った堆肥

表3 混合堆肥のPHとEC

ヒマワリ
茎葉

乾燥
鶏ふん

39日目

78日目

pH

EC

pH

EC

30

10

8.4

2.2

8.7

2.2

20

20

8.9

3.5

8.7

2.6

10

30

8.8

4.1

8.8

3.5

0

40

9.3

4.4

9.1

4.9

  • PH(水素イオン濃度)
    アルカリ性(PH8.0~9.0)では好気性菌が活動しやすい
  • EC(電気伝導度)
    ECの高い堆肥は肥料成分含有率が高く、化学肥料代替量も多い

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市町主体のモデル事業の実施

平成18年度から開始したモデル事業は、宇和島市、東温市、松前町、鬼北町の4市町が事業主体となって、地域住民の参加を得て休耕田等を活用してヒマワリや菜の花を栽培し、開花時期や収穫時期には、ヒマワリ祭り等のイベントを開催するなど、バイオマスの利活用や地球温暖化防止についての啓発も行われます。また収穫後は、ヒマワリ油等を搾油し、そのまま又は給食センター等で使用した廃食用油をBDFに変換し、公用車やトラクターなどの農業用機械で、利用する計画となっています。

表4モデル地域でのヒマワリ栽培状況

 

東温市

宇和島市

松前町

鬼北町

栽培場所

見奈良
1ha

三間町
1.4ha

西中川原、西古泉
50a

岩谷
90a

播種時期等

  • 播種 5月
  • 開花 7月下旬
  • 収穫 9月4日
  • 播種 5月30日
  • 開花 8月上旬
  • 収穫 9月26日
  • 播種 5月27日
  • 開花 7月下旬
  • 収穫 9月1日
  • 播種 7月17日
  • 開花 9月下旬
  • 収穫 10月26日

栽培本数

80,000本

70,000本

16,000本

40,000本

東温市 宇和島市

松前町 鬼北町

図6 モデル地域(左上:東温市、右上:宇和島市、左下:松前町、右下:鬼北町)

バイオマスエネルギープロジェクトは、住民が参加してヒマワリを栽培し、花が咲いた景観を楽しみ、収穫したヒマワリ油は食用にも利用でき、そして、その油でディーゼルエンジンが動くといったバイオマスの新たな利用価値を体験するもので、バイオマスの利用啓発面でも効果があるものと期待しています。

県としては、平成18年度の成果を基にして、19年度以降もモデル事業の継続と県内各地へのバイオマス利用の拡大を図っていくこととしています。

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県民環境部環境政策課

〒790-8570 松山市一番町4-4-2 

電話番号:089-912-2345

ファックス番号:089-912-2354

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