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企画戦略部・農業研究部試験研究成果一覧

ページID:0005571 更新日:2023年10月31日 印刷ページ表示

企画戦略部・農業研究部

令和4年度農林水産研究所企画戦略部・農業研究部試験研究課題一覧表
事業名 細事項名 研究期間 実施部署 目的 主な成果 パネル等
農業試験研究費 新農薬等試験事業費 S48~ 病理昆虫室
次世代農業戦略室
作物育種栽培室
本県の栽培環境条件や作物等で、新しい農薬や生産資材等の適応性や効果を明らかにする(委託元からの要望により、農薬や資材に関する試験内容や結果は、非公開としているものが多い)。

〇サトイモ疫病・茎腐病、カンショつる割病、ブロッコリー軟腐病、カブ軟腐病を対象に9剤の防除効果および薬害の有無を検討した結果、いずれの供試薬剤にも実用性が認められた。また、イチゴ角斑細菌病を対象とした銅剤の防除効果および薬害の有無を検討した結果、実用性が認められた。

〇水稲では、ウンカ類、ツマグロヨコバイ、イネクロカメムシ、コブノメイガ、イネツトムシ、フタオビコヤガを対象に16剤について防除効果と薬害の有無を検討した結果、13剤には実用性が認められたが2剤には実用性が認められなかった。なお、ツマグロヨコバイ・イネツトムシは極少発生であったため、3剤については判定不能であった。

〇野菜類では、やまのいものアブラムシ類、すいかのオオタバコガ、だいこんのアオムシ、キスジノミハムシ、キャベツのハイマダノメイガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、ブロッコリーのアブラムシ類、コオロギ類、ハイマダラノメイガ、ヨトウムシ、カリフラワーのハスモンヨトウ、レタスのヨトウムシ、にんじんのキアゲハ、ヨトウムシを対象に20剤の防除効果と薬害の有無を検討した結果、16剤について実用性が認められ、3剤については実用性が認められなかった。なお、やまのいものアブラムシ類は発生がなかったため、1剤について判定不能となった。

〇水稲除草剤では、初中期一発処理剤を対象に、除草効果と水稲への薬害の点から3剤を検討した結果、すべての剤で実用性が認められた。また、麦除草剤においては、除草効果とはだか麦への薬害の点から1剤2試験を検討した結果、出芽前処理については薬害の年次変動の確認が必要、出芽揃処理については有望と評価した。

ウンカ類に対する長期残効型箱処理剤の防除効果[PDFファイル/169KB]

 

ドローンによる水稲害虫防除[PDFファイル/149KB]

 

サトイモ疫病を防除するには!~効果的な薬剤散布~[PDFファイル/238KB]

農業試験研究費 水稲野菜花き類優良品種・種苗育成試験費 S52~ 作物育種栽培室
野菜育種栽培室
花き研究指導室

水稲、野菜、花きについて、愛媛オリジナル品種を作出する。

〇‘ひめの凜’及び‘媛育84号’‘媛育85号’‘媛育86号’を奨励品種決定調査に供試した。令和4年度、県内において、'媛育71号'は148ha、'ひめの凜'は505ha栽培された。

〇育成したイチゴ26系統を栽培、特性を調査し、有望な9系統を選抜した。

〇イチゴのF1組合せ10系統を栽培調査し、有望な1系統を選抜した。

〇γ線を25Gy照射したサトイモ親芋10株から230個の副芽を採取・定植し112系統の予備選抜用種芋を得た。

〇1次選抜に供試したサトイモ18系統のうち早生系統の候補として4系統、収量性の高い候補として7系統をやや有望とした。

〇デルフィニウムのシネンシス系品種について、花型や花色、栽培特性等の優れた新品種の育成に取り組んでおり、花色が白色の4つのF1系統について特性調査を実施した。

CMでもおなじみ!愛媛のブランド米極良食味品種’ひめの凜’[PDFファイル/153KB]

 

愛媛県水稲育種の歩み(PDF:280KB)[PDFファイル/280KB]

 

形と味で勝負!県オリジナルのサトイモとツクネイモ[PDFファイル/210KB]

農業試験研究費 合理的土地利用技術確立試験費 S58~ 作物育種栽培室
野菜育種栽培室
研究企画室

農地の健全性や連作障害の発生防止等を考慮した科学的な作付体系に対応するため、効率的な輪作方法を組み合わせた合理的な農地利用技術を確立する。
また、これに必要な農業気象データベースを構築する。

〇露地野菜では、マルチ・畝連続利用栽培により、リーフレタス、ミズナ、パクチー等複数の品目を組合せた周年栽培の実証を行った。また、春秋期はズッキーニの春どり、秋どりの2作型について栽培実証を行い、冬春期にはマルチ栽培を前提としたタマネギの小型機械化体系について4作型での栽培を行った。

〇本県育成品種‘ひめの凜’とはだか麦新奨励品種‘ハルヒメボシ’の高品質安定生産を目指した体系化実証試験を実施した。‘ひめの凜’については、安定的に高収量、高品質、良食味生産のためには、移植後30日からの中干し、黄変籾率85%からの刈取等の目安等について検討した。

〇所内の気象観測データをデータベース化し、集計したグラフなどをホームページに公開した。

はだか麦の平均収量450kg/10aを目指した総合改善対策マニュアルの作成[PDFファイル/416KB]

農業試験研究費 高機能性米育種開発費 H29~R4 作物育種栽培室 近年、糖尿病などの生活習慣病が増加し、これらの疾患ごとの食事療法が重要となっている。そこで、血糖値上昇の緩やかな高アミロース米有望品種‘ホシニシキ’の人体への影響を明らかにすることで、新たな本県独自の米生産シーズを創出する。

〇糖尿病対応米について、有望品種‘ホシニシキ’を用いて栽培試験を実施し、定植時期・施肥・栽植密度と生育・収量・品質・アミロースの関係を明らかにした。西予市宇和町で現地実証試験を実施した。また、愛媛大学医学部及び農学部と共同で、糖尿病の検査入院患者を対象に‘ホシニシキ’炊飯米の臨床試験を実施し、高アミロース米‘ホシニシキ’は標準米に比べて炊飯米摂取時の血糖値が低く推移することを明らかにした。‘ホシニシキ’を用いた粥は特別用途食品「えん下困難者用食品」の許可基準を概ね満たすことを確認した。

愛媛県産高アミロース米「ホシニシキ」のグリセミックインデックスの検討<外部リンク>

農業試験研究費 果菜類高品質多収技術確立事業 R1~5 野菜育種栽培室

本県の施設イチゴは、本県育成品種’紅い雫’を中心に推進しているが、年内収量の少なさ、冬期の着色不良、春季の糖度低下等の技術的な課題が残されている。施設トマトは、夏期の作型が安定せず周年栽培は難しいうえ、高糖度果実の生産技術も確立されていない。
一方、近年では、施設の複合環境制御に係る装置やシステムの進歩が著しいが、各品目に対応した環境制御については研究途上である。
そこで、施設のイチゴとトマトについて、複合環境制御と生育に係るデータ蓄積と、高品質多収を目指した技術開発を行い、経営モデルを構築する。

〇複合環境制御によるイチゴの高品質多収技術の開発
イチゴ新品種‘紅い雫’について、早期収量を向上させるため、環境制御による高品質多収を可能とする栽培技術の確立を目指しており、給液の日射比例制御がイチゴの生育及び果実品質に及ぼす影響を検討した。時期別商品果収量について、試験区の中では日射比例制御(積算日射量2.0MJ/m2)が最も高い傾向にあった。試験区と慣行区の年内および早期に明確な差は見られなかったが、3月および全期は慣行区が239g/株および497g/株でそれぞれ高い傾向にあった。果実品質について、慣行区の大果重および秀品収量がそれぞれ252.7g/株および402.6g/株と試験区に比べて高い傾向にあった。1果重や糖度、酸度は明確な差は見られなかった。出蕾日について、慣行区と日射比例制御(積算日射量2.0MJ/m2)の第1腋果房は44日と最も早く、開花日については明確な差は見られなかった。収穫開始日について、頂花房は明確な差は見られなかったが、第1腋花房は日射比例制御(積算日射量2.0MJ/m2)が2月15日で最も早く、日射比例制御(積算日射量3.0MJ/m2)が3月2日で最も遅かった。

 

〇複合環境制御によるトマト・ミニトマトの高品質多収技術の開発
ハウス内の高温対策について、遮光と細霧の効果を検討した。夏の晴天時に外日射0.7kW/m2以上で遮光、気温30℃以上で10分中2分の細霧稼働で制御すると、遮光+細霧において昇温抑制効果が高かった。前年度より定植が1か月程度遅かったため減収したが、“麗妃”,“プチぷよ”では約1割、“エコ・スイート”では約2割の減収に止どまった。トマト・ミニトマトの栽培試験では、給液管理と着果管理の違いが収量・品質に及ぼす影響について検討した。結果、トマトは日射比例による給液管理で夏以降の糖度が高く、ホルモン処理による着果管理で夏期の着果が増え収量が多くなった。ミニトマトでは給液管理による糖度の差は見られなかったが、ホルモン処理による着果管理でトマト同様、夏期の着果が増え収量が多くなった。

遮光シートと細霧冷房で夏期トマトの高温対策[PDFファイル/111KB]
農業試験研究費 農林水産研究シーズ発掘事業

R1~5

次世代農業戦略室

病理昆虫室

水稲栽培において追肥診断、生育管理の指標として用いられている葉色は、目視またはSPAD計、近年ではドローンの空撮画像を使用して計測されている。目視診断には曖昧さが残り、SPAD計やドローンは高価であるため、多くの農家が利用することは難しい。また、県オリジナル品種‘ひめの凜’では作付拡大が進んでいるが、農家の栽培経験が少なく、生育管理の指標が必要とされている。そこで、スマートフォン等の撮影画像解析により、葉身窒素濃度の予測手法を検討する。

野菜の害虫であるコナジラミ類は、薬剤抵抗性の発達が問題となっており、環境負荷を防ぐ観点からも化学農薬を用いない防除方法の拡充が必要である。そこで、愛媛県の主要な施設野菜であるキュウリについて、物理的防除法の新たな手法として期待される、音および振動を用いた防除法を検討する。

〇今回作成した回帰式により、可視光カメラによる撮影画像から水稲葉身窒素濃度の推定を行ったところ、必要とされる精度で推定できた。このことから、スマートフォン等による反射光画像での葉身窒素濃度推定において、作成した回帰式を適用できるものと考えられた。

 

〇振動モーターを用いた振動装置により、キュウリ苗に寄生するタバココナジラミ成虫数が減少し、定着阻害効果が確認された。

 
農業試験研究費 優良枝物安定生産技術確立試験 R2~6 花き研究指導室

県では、遊休農地や耕作放棄地の活用を図るため、省力的で高齢者や女性でも取り組みやすい優良枝物(ユーカリ、ピットスポラム、ビブルナム・ティナス等)の導入を支援しており、現在、松山市、今治市、四国中央市等でこれらの産地化が進み、品質の良さから市場の評価も高くなっている。
しかし、これらの枝物は、苗の安定供給が難しいなど、新たな課題も顕在化している。
また、枝物市場で生産規模の大きいシキミは、形質がばらつき生産性が不安定であることが問題となっている。
そこで、増殖技術の改善、優良個体の収集・選抜を行い、品質の良い枝物の安定供給を図る。また、更なる新規品目の選定を行うとともに、現地実証を行い、県内枝物産地の発展、農業者の所得向上等を目指す。

〇増殖・栽培技術の改善試験
ユーカリ(グニー)の挿し木繁殖による発根率の向上を図るため、挿し木時期及び台刈り剪定後に発生する挿し穂の採取部位を変えて挿し木を行った。発根率は高いもので60.0%であった。9月中旬に台刈り後に発生した軟らかい枝(若枝)と発生した枝の軟らかい側枝(慣行)を挿し穂にした発根率は、それぞれ40.0%、36.7%で差はなかった。

〇ユーカリ、シキミの優良個体の収集
ユーカリ(グニー)は、実生から選抜した5系統の挿し木繁殖をし形質を検討した。5系統のうち2系統は発根し個体を得られたが、3系統は発根しなかった。挿し木で得た個体は、母樹と葉色、茎色、葉形は同じであった。
シキミは、県内の生産園地から収集した優良個体を9系統化し形質を検討した。従来系統と比較して、生育が良く、葉が短く、葉色の濃い有望な系統が1系統あった。次いで、生育が良好で樹形が安定している有望な系統が4系統あった。

〇ビブルナム・ティナスの発芽条件の解明
樹上越冬種子を播種し、低温に遭遇させることにより発芽するが、外果皮と果肉を除去することで発芽率の向上がみられ発芽率は約90%となった。また、播種から発芽までには約8ヶ月の期間を要するが、15℃、5℃の変温湿層処理を行いうことにより、最終的な発芽率は約50%となるものの、発芽までの期間は、約3ヶ月に短縮されることがわかった。

ユーカリ・グニーの優良個体の選抜[PDFファイル/229KB]
スマート農業技術開発・普及促進事業費 R4~6 次世代農業戦略室 農業者の減少・高齢化が進み、労働力不足等の構造的な問題を抱える本県農業においては、従来以上に労働生産性を向上させ、省力化・効率化を図ることが不可欠であり、そのためにはスマート農業をいち早く現場に定着させることが急務である。
このため、本県の生産者が体感することの少ないスマート農機を整備することで、実際の機械に「みて、ふれて、かんじて」もらい、スマート農業へのハードルを大きく下げるとともに、農林水産研究所及び現地ほ場で研究及び実証することによって現場実装を加速化させる。

〇農業者への理解の促進
・「愛媛県スマート農業推進協議会」を立上げ、今後の推進方針について検討した。
・愛媛県スマート農業推進協議会により、関係機関の意見を集約して「愛媛県スマート農業推進方針」を策定した。

〇スマート農機を用いた省力化・高品質化の研究実証
・リモコン草刈り機使用時の、労働時間と身体への負荷を明らかにした結果、リモコン草刈り機の利用により、作業時間は約5分の1となり、心拍数は約35%減少した。
・3種類の自動給水機を利用することによる水稲品質への影響を検討したが、品質への影響はなく水管理の時間が削減できた。

〇スマート農機現地実証
・県内6カ所において、水田自動給水機の実装可能性について調査した。結果、自動給水機の利用により水管理時間は20~80%削減でき、品質に影響はなかった。

自動給水機を利用した水稲の省力水管理試験[PDFファイル/214KB]

 

愛媛県スマート農業推進方針

 

農林水産研究所研究機器整備費 R4 次世代農業戦略室 新型コロナウイルス感染症対策として、農林水産研究所内での人との接触機会を減らす等により感染リスク軽減を図る必要がある。また、コロナ禍に伴う外出自粛や飲食店の休業・時短営業などにより農林水産物の価格下落対策に繋がる技術開発が必要となっている。
そこで、感染機会の軽減につながる機器や新たな技術開発のための機器の整備により、試験研究機関の機能強化を図る。
ロボットトラクタ、収量コンバイン、センシングドローンを整備し、水田における省力化、高品質化栽培に向けた技術実証を実施中。 農林水産研究所で導入したスマート農機[PDFファイル/889KB]
未来型農林水産研究プロジェクト推進事業 ブレイクスルーでつかみ取る‼サトイモ・スーパー品種の開発 R4~6 野菜育種栽培室 「愛媛農試V2号」は他品種に比べて、反収が多く生産が安定していることに加え、「美味しい」との市場評価もあり、サトイモ生産拡大の原動力である。しかしながら、令和15年には育成者権が消滅し、他県が本品種の栽培に着手すると見込まれるため、品種の囲い込みによる優位性が低下する恐れがあることから、同品種を超える新たなスーパー品種を開発する。
このため愛媛大学や理化学研究所と共同で、新たな形質導入を図るための技術開発、サトイモの遺伝子マーカー開発、形質導入(DNA損傷)処理後に生まれるキメラ植物体からの変異体育成、および世代短縮技術を開発する。

〇交雑育種が困難なサトイモにおいて、有用な突然変異体を獲得するために重イオンビーム照射を実施して変異体の確保を行った。照射核種はアルゴンと炭素で、各核種につき2回ずつ実施したところアルゴン照射系統を74系統、炭素照射系統を81系統得ることが出来た。これらの系統は、特性調査を実施する。

〇世代短縮技術開発のため、効果的な外殖片利用法の検討したところ、副芽を(10mm程度)まで、成長させて利用することにより、種イモ1個あたり取得可能なサンプル数を従来よりも2倍程度増やすことが可能となった。

サトイモ新品種育成にブレークスルーを起こす新技術について[PDFファイル/280KB]
戦略的試験研究プロジェクト かんきつせん定技術習得システム開発費 R4~6 次世代農業戦略室 かんきつ栽培は一年単位の作業であるので、新規就農者が一人前のせん定技術を習得するためには、相当程度の時間を必要とする。
また、生産者が減少していく中、地域の中で懇切丁寧に技術の指導をしてくれる指導者も先細りが見込まれる。
一方で、産業におけるデジタル化は飛躍的に進歩しており、農業分野においてもデジタル技術の活用が必要不可欠となっている。
このための取り組みの第一歩として、「樹体情報の可視化とせん定シミュレータの開発」に取り組む。

〇かんきつ樹3Dモデルの作成
ドローン等を使用し、葉がついたままの状態と葉をすべて取り除いた状態の画像を取得した。また葉材比や葉数、葉密度、樹容積を把握し、3Dモデル作成の基礎資料とした。
またシミュレータ開発のための樹木のデジタル化を進めた。

〇かんきつせん定シミュレータの作成
ドローンなどの画像からコンピュータ上で作成した3Dモデルを使い、枝を切除した場合にどれだけの部分が一緒に除かれるのかモデル化に取組んだ。

 
戦略的試験研究プロジェクト サトイモ大規模省力生産技術開発事業 R3~5 次世代農業戦略室
病理昆虫室
野菜育種栽培室
県オリジナル品種「愛媛農試V2号」(商標:伊予美人)は、食味の良さ等から市場関係者から高い評価を得ている。また、全国第4位の生産量と、近年の安定価格の維持に加え、広域選果場の整備等の好条件が重なり、生産者の栽培意欲が刺激され、お金を稼げる作物としての期待感が高まってきている。
一方、土入れ等の重労働や疫病の発生による防除回数の増加等の課題を抱え、栽培面積と生産性をどこまで維持できるのか予断を許さない状況にある。
そこで、県内サトイモ主産地を抱える現場関係者も含めた産官学の強力な連携を基軸に、大規模・広域集団栽培技術、無人選別技術、未利用資源の有効利用技術等の生産から出荷・販売に至る一貫的な「大規模省力生産技術」を開発し、生産現場での実証試験とともに、スピード感を持って新技術の現場実装を図る。

〇大規模・広域集団栽培に適用できる安定生産技術の開発
省力的で一層の高収益・高品質な芋生産につながる栽培・防除技術を開発し、産地規模の拡大を目指している。
・ハイクリアランス仕様乗用農機による新たな省力機械化体系の確立を目指し、土入れは従来の歩行型管理機による作業と同等以上の作業精度で、かつ作業時間は2~3分の1に短縮できた。また、乗用管理機による農薬散布作業において、作業機が跨いで走行することにより、茎葉の折れや破れが発生したものの、収量および品質へ与える影響は少なく、省力技術として有効であった。
・生分解性マルチの利用による収穫作業の省力化を目指し、4メーカー(6銘柄)の資材を用いてビニールマルチとの比較検討を行った結果、生分解性マルチとビニールマルチの間にサトイモの地上部生育および収量に差は見られなかった。
・ドローン利用による新たな防除体系の確立を目指し、薬害の発生しやすいサトイモで、高濃度・少量散布を行っても薬害が発生しにくいことを見出し、ドローン散布の登録に向けた試験を実施。R3にダイナモ顆粒水和剤が適用拡大されたことで、県下で480aのドローン散布実績(R4)があった。また、ハスモンヨトウとハダニ類を対象に薬効・薬害試験を行い、ハスモンヨトウの適用拡大の可能性が高まった。
・腐敗芋の主原因である乾腐病菌(Fusarium solani 種複合体)を土壌接種したほ場において、2種薬剤の種芋消毒処理、1種薬剤の土壌混和処理を実施した結果、土壌病害として有効な芋腐敗軽減効果がみられた。
・サトイモの農業用無人車による農薬付着と防除効果について、農業用無人車(XAG社製R150)を使用して実証した結果、散布地点から350cm地点では手散布に比べ葉表への付着率が高かった。

サトイモ大規模省力生産技術開発[PDFファイル/1.11MB]

 

ハイクリアランス仕様トラクタによる土入れ作業[PDFファイル/238KB]

 

サトイモ全期マルチ栽培における「生分解性マルチ」の利用[PDFファイル/213KB]


サトイモ ドローン利用による防除について[PDFファイル/220KB]
サトイモ疫病ってこんな病気!~多発生する要因~[PDFファイル/689KB]


サトイモ疫病を防除するには!~効果的な薬剤散布~[PDFファイル/601KB]


サトイモ乾腐病ってこんな病気![PDFファイル/180KB]


農業用無人車による防除作業の効率化[PDFファイル/98KB]

施設栽培改善試験研究費 柑橘新系統「愛媛48号」栽培特性調査研究 R3~4 次世代農業戦略室 柑橘新系統「愛媛48号」の栽培特性等を踏まえて、スマート農業による一貫作業体系を現場実装するため、気象ロボットやAI選果機等を活用した多岐にわたる情報を効率的に収集し、マルチ+ドリップ潅水栽培下における栽培管理の最適化と園地管理へフィードバックすることにより、収量や品質の向上を目指している。 〇AI選果の確立に向けた生産管理データの収集と解析
温州みかんの選果では、AI選果による庭先選別の作業時間は従来の家庭用選別機による選果作業に比べ2分の1以下に削減され、等級別正答率は80%以上であった。今後、浮皮と生傷に関する判別精度の向上が課題である。
「愛媛48号」の選果では、内部品質の糖度とクエン酸の検量線を作成し、内部品質に応じた選別が可能となった。果皮に発生する日焼果や微細裂果などの画像データを収集し解析中である。
選果労力を軽減するAI選果機![PDFファイル/96KB]
広域連携型農林水産研究開発事業費 農地土壌炭素貯留等基礎調査事業(農地管理実態調査) H20~ 次世代農業戦略室 国連気候変動枠組条約に基づく温室効果ガスインベントリ報告のために、土壌の炭素蓄積量の精密測定を行う。

〇農地が地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の吸収源となることを明らかにするため、県内32地点の代表的農地(水田16、樹園地16)を対象に、毎年8地点ずつ調査し、農地土壌深度30cmまでの炭素貯留量を算出している。
今年度は樹園地8地点(八幡浜市3、伊方町1、宇和島市2、愛南町2)について調査を実施した。深度30cm当り炭素量(t/ha)は、分布幅が21.8~69.9(平均値39.4)となり、愛南町の細粒質山地褐色森林土樹園地で最も高くなった。

〇愛媛県の代表的な水田土壌である灰色低地土での水稲栽培では、牛糞堆肥の経年連用により土壌中の炭素、窒素の貯留量は高く維持され、特に4t/10a施用することでその貯留効果は高かった。

土壌炭素事業[PDFファイル/779KB]
広域連携型農林水産研究開発事業費 薬用植物の国産化・品質向上に向けた栽培技術の開発 H30~R4 野菜育種栽培室 本県ではミシマサイコ等薬用植物の産地化が進められている。そこで、四国西南暖地の環境条件に適合した薬用植物の導入を促進するため、ヒロハセネガ・トウキ等の3品目について、既存の基本的栽培・加工技術をもとに、暖地における生育の特性解明や栽培・加工における問題点の抽出とその対策を検討する。

〇2年目の春に発生したシュートは、1回目の摘心前までに草丈が61.4cm±11.14(n=30)まで伸長した。

〇収穫時の草丈は、摘心位置が上位になるほど高くなったが、いずれの区もほぼ100cm以内が確保され、株の倒伏は見られなかった。無摘心区の草丈は140cm前後となり、収穫前に倒伏した。

〇摘心により側枝の伸長が促進され、摘心20→30cm区や30→40cm区では地上部の乾物重が無摘心区を上回った。また、両区では地上部乾物重に比例して根部の生育も他区より良好であった。

〇根の乾物収量は、調製前、調製後ともに摘心区が無摘心区を優った。調製後収量は、摘心30→40cm区が120kg/10a以上で最も高く、無摘心区の1.5倍以上となった。

〇いずれの区も中耕培土を実施したことで、障害根は10%程度までの低い発生率となった。

トウキとミシマサイコで国産生薬の伝統を守ろう[PDFファイル/340KB]

 

国内生産拡大に向けた薬用作物の栽培技術2020トウキ・ミシマサイコ<外部リンク>

広域連携型農林水産研究開発事業費 水田裏作麦におけるアッパー整形ロータリによる畝立て同時播種の実証 R3~4 次世代農業戦略室 はだか麦の播種作業では、水稲収穫後から耕起、土壌改良材散布、施肥、播種、溝切りといった多くの工程を要するが、播種前後の多雨によって作業の遅延や湿害が起こりやすい。そのため、複数の作業を一括で行う複合播種作業を検討する。 〇アッパー整形ロータリを用い、苦土石灰散布と畝立て、施肥播種を一度に行う複合播種により、作業時間は、耕起後に畝立て播種を行う栽培の約3分の1と大幅に省力化できた。前作の稲わらが多い場合には、事前にスタブルカルチ等により稲わらと土を反転させておくことで、問題なく播種することができる。
〇この機器導入により、降雨による圃場準備の遅れや、湿害発生の防止が期待できる。
水田裏作におけるアッパー整形ロータリーによる畝立て同時播種の実証[PDFファイル/460KB]
広域連携型農林水産研究開発事業費 イチゴ炭疽病耐病性品種の耐性機構解明と減農薬栽培技術の開発 R4 病理昆虫室 輸出向け新品種「ななつぼし」を栽培し、AI活用による栽培技術と減農薬栽培のマニュアル化に資する。 〇「ななつぼし」は、罹病性品種ではなく、抵抗性品種に属するものと判断された。「芽なし株」の発生を防ぐ栽培条件下で収量・食味・病害虫発生調査を行ったところ、既存品種に比べ、収量は2,3倍多いものの、奇形果が多く生じ秀品率も低く、Brixでは約3°低いことが確認され、実際の食味も劣っていた。  
広域連携型農林水産研究開発事業費 高密度育苗栽培における直進アシスト機能の実証 R4~5 作物育種栽培室 本県では、圃場一枚当たり面積が小さく作業能率が低いので、小面積で使用できる小型農機に取り付けられる直進アシスト機能を導入し、経験の浅いオペレータでも農作業が容易に高精度で行えることを検証する。 〇直進アシストは、未習熟者では耕起および移植時の作業能率を向上させたが、熟練者では明確な差は見られなかった。燃費は、未習熟者で低いが、両者とも直進アシストにより燃費が向上した。  
広域連携型農林水産研究開発事業費 急傾斜農地向け自立走行ロボット高適応性圃場整備の検討 R4 次世代農業戦略室 農業機械の電動化に必須となる各種の機械負荷制御技術を構築し、同制御技術を適用することで電動農機の社会実装を促すとともに、急傾斜園地でも安定自律走行可能な走行ユニットの開発を圃場設計と一体的に推し進めるなど利用環境を強く考慮した研究開発を行いつつ、本研究で整備する圃場にて他のNEDO研究テーマ等で開発中の同種走行ユニットやロボット等を運用・評価することで相互に研究開発を加速し、ロボット農業システムや電動農業機械の社会実装を確実にすることを目的とする。 電動台車モデル園走行における合同検討会を開催した。走行ロボット台車を製作している4機関からの参画があり、急傾斜地ロボット農業の社会実装に向けて、各ユニット毎の改良や園地整備における課題を抽出できた。  
広域連携型農林水産研究開発事業費 急傾斜農業の超省力化に向けた小型農業ロボットシステムの開発 R4~6 次世代農業戦略室 愛媛大を中心とし急傾斜地での過酷な労働環境の改善に向けて、急傾斜地が主要な産地として栽培されているカンキツ(愛媛県で実施)、シキミ(宮崎県で実施)産地における栽培の超省力化・高品質生産に向けた小型農業ロボットシステムの確立を目指すこととしており、特に労働負担の大きい防除と運搬作業の省力化に向けてドローン防除の高精度化と急傾斜地向け走行ユニットの実用試験機の開発を行う。

〇樹形ごとのノズル位置や液滴サイズ、飛行ルートの最適化
ドローンカメラによる樹体容積の3次元計測方法の開発に向けて画像データを収集・解析し園地、樹体モデルの作成を行った。また愛媛県、宮崎県の両試験地にてドローン散布時のデータ収集、数値シミュレーションの結果により散布システムの改良・検討した。

〇カンキツにおけるドローン防除の高精度化
樹形や飛行位置、ルートに応じた最適飛行条件を把握し、樹形改良による最適な樹形や飛行方法を見出すとともに、防除効果について検討した。

〇愛媛大学で急傾斜地向け走行ユニットの開発を行い、走行ユニットや農業無人車の現地セミナーを開催し、農業者に周知した。

急傾斜農業の超省力化に向けた小型農業ロボットシステムの開発[PDFファイル/275KB]
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