本文
(平成24年2月24日更新)
わが国では、「麻しんに関する特定感染症予防指針」(平成19年12月28日厚生労働省告示第442号)に基づき、平成24年までに国内から麻しんを排除することを目標に、取り組みを進めています。世界では、南北アメリカなど、多くの地域でもはや麻しんの流行はみられず、麻しんの排除が宣言されています。
麻しんにかかると、肺炎や脳炎などで1000人に1人が死亡する可能性があるなど、麻しんは重大な病気です。子どもたちの命を守るためにも、 麻しん排除への取り組みに、ご理解とご協力をお願いいたします。
WHOでは、麻しん排除に向けた進捗状況を評価するための「定義」、「指標」、「基準」を、次のように示しています(WHO, Weekly epidemiological record, 85, 490-495, 2010、PDFファイル478KB<外部リンク>)。
質の高いサーベイランスの下で、12ヶ月以上にわたり麻しんの伝播がないこと
特定感染症予防指針では、麻しん患者の発生数が排除のレベルまで低下した場合は、類似の症状の疾病から麻しんを正確に見分けるため、全例の検査診断を求めています。これを受け、厚生労働省は平成22年11月に「可能な限り遺伝子検査を実施する」旨の通知を発出し、検体採取への協力を呼びかけています。(麻しんの検査診断について(健感発1111第2号平成22年11月11日結核感染症課長通知)<外部リンク>)
このなかで、臨床的に麻しんと診断された症例や、麻しんIgM抗体が陽性の症例であっても、実際には伝染性紅斑や突発性発疹など、麻しん以外の症例が存在することが指摘されており*、麻しんと診断した医療機関に対して、麻しん患者発生の届出と併せて遺伝子検査用の検体提出を依頼しています。 検体の採取・提出方法は、最寄りの保健所にお問い合わせください。ご協力よろしくお願いいたします。
*「最新の知見に基づく麻疹の検査診断の考え方」(国立感染症研究所 、PDF 72KB)<外部リンク>によると、国内の検査キットでIgM抗体が陽性であっても、抗体価が5.0未満は麻疹でない可能性が高く、5.0以上8.0未満では麻疹の可能性があり、8.0以上では麻疹の可能性が高いとしています。そのため、検査診断にはIgM抗体検査のみでは不十分で、同時にPCR検査の実施を求めています。なお、PCR検査が実施できなかった場合には、ペア血清での診断を可能にするため、急性期の血清の冷凍保管は極めて重要であるとしています。
伝染性紅斑、突発性発疹、デング熱の急性期に麻疹IgM抗体が陽性となる場合があるので、PCR検査やペア血清による確実な検査が重要です。
特定感染症予防指針に基づき、国立感染症研究所感染症情報センターから、麻しんに関するガイドライン(国立感染症研究所 感染症情報センター)<外部リンク>が作成され、公表されています。