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知事からのメッセージ(愛媛県被災地支援本部)

ページID:0018176 更新日:2016年4月1日 印刷ページ表示

平成24年
 (11月6日分)
 (9月6日分) (6月19日分) (4月28日分)
 (4月24日分) (4月13日分) (4月9日分)
平成23年
 (12月2日分)
 (10月31日分) (10月5日分) (8月22日分)
 (8月12日分) (7月19日分) (6月27日分)
 (5月3日分) (4月14日分) (4月8日分)
 (3月30日分) (3月20日分) (3月17日分)

※伊方原発に関する知事メッセージは、こちらのページを参照ください。

知事からのメッセージ(11月6日)

 11月5日、四国電力柿木原子力本部長から、今年度秋に実施した訪問対話活動の結果及び伊方原発の追加安全対策について報告がありましたので、お知らせします。
 訪問対話活動については、これまでも報告を受けているところですが、今回の結果では、前回とほぼ同数の約28,000戸を訪問(在宅率52%)し、そのうちの4%の方から厳しい意見をいただいたとの報告がありました。
 また、追加安全対策については、
(1)非常用外部電源受電設備の地震・津波対策
(2)3号機用の空冷式非常用発電機の増設
(3)3号機のフィルタ付ベント設備の設置
(4)3号機の蒸気発生器へ注水する補助給水ポンプの代替注水ポンプの設置
の4つの対策を、今後、実施する旨の報告がありました。
 報告を受け、私からは四国電力に対し、伊方発電所周辺の訪問対話については、定期的に実施し、今後とも丁寧に説明のうえ、県民の安心醸成に努めるよう要請しました。
 また、安全対策については、ベント設備の設置に加え、原子炉を冷却するための電気設備や注水設備を現在の設備に追加し、バックアップとして充実させる計画であり、的確な対応であると思いますが、四国電力には、可能な限り一日でも早くということを常に念頭において実施するよう要請しましたので、併せてご報告します。

平成24年11月6日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(9月6日)

 8月3日に八幡浜市、大洲市及び西予市が、住民の安全・安心の観点から、四国電力に対して、安全に関する協定等の締結についての申し入れを行い、併せて、県に対して調整依頼がありました。
 その後、協議が整ったことから、昨日9月5日に、伊方町の立会いのもと、県、八幡浜市、大洲市、西予市、四国電力が「伊方原子力発電所周辺の安全確保等に関する覚書」を締結いたしました。
 今回の覚書の締結は、それぞれ、地域によって原発からの距離も、あるいは人口などの条件も異なりますので、互いの立場を尊重しながら、昨年の夏以降、関係者が丁寧に議論を積み重ねたものです。
 この覚書の内容は、現在、県、伊方町及び四国電力において締結している「伊方原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」の範囲内で

  • 主要な施設の設置、変更等の際の手続き
  • 異常時の通報・連絡
  • 立入調査
  • 損害賠償

などについて規定しており、3市の住民の安全対策や安心の確保につながる内容となっています。
 今後も、県、伊方町、今回覚書を締結した3市及び四国電力がともに協力しながら、安全・安心を求めていくことが第一であると考えており、四国電力には、事業者としてその責任を果たすよう、改めて要請しましたので、ご報告します。

平成24年9月6日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(6月19日)

 伊方発電所の安全対策については、かねてより四国電力に対して、国から指示のあった対策のほか、アディショナル(追加的)な対策の早期実施を求めてきたところですが、6月18日、四国電力の原子力本部長から伊方3号機の概ね1,000ガル以上の耐震安全性確保(耐震裕度2倍確保の取り組み)に係る状況の報告がありました。これは、昨年6月に四国電力から、実機の構造を考慮したより現実的な設備に加わる力等を考慮した「耐震裕度詳細評価」を実施し、裕度2倍以上を確認するとしていたものです。
 また、県と四国電力で、それぞれ発電所周辺に設置して環境放射線の連続測定を行っているモニタリングポストについて、四国電力の増設計画についても報告があり、県としての全体計画がまとまりましたので、併せて報告いたします。
 まず、概ね1,000ガル以上の耐震安全性の確保については、3号機の安全上重要な約130の全ての機器で1,000ガル以上の耐震安全性が確保されていることを確認したとの報告でした。四国電力に対しては、確認漏れがないかやしっかりとした数値設定をしたうえのものかなどを確認したところ、十分確認しているとのことでしたが、県としても、今後、その内容を確認してまいります。原子力本部長には、今回確認された耐震安全性について県民へしっかり説明するなど、安心の醸成に努めるとともに、3号機よりも運転期間が長い1、2号機について早期に確認のうえ、必要な対策を実施するよう改めて要請しました。
 また、県では、福島第一原発事故を踏まえた防災対策地域の拡大に伴い、伊方原発から概ね30kmを目安に緊急時等における放射線の監視体制を強化するため、モニタリングポストの増設を検討してまいりました。放射線の監視については、従来、県と四国電力で連携して実施してきたことから、四国電力から、県が設置する12基を補完する位置に7基のモニタリングポストの増設を決定したとの報告がありました。この結果、県と四国電力で、伊方町、八幡浜市、大洲市、西予市に各4基、宇和島市、伊予市、内子町に各1基の計19基のモニタリングポストを増設いたします。
 今後は、伊方原発環境安全管理委員会の専門家の御意見も伺いながら、モニタリングポスト増設を踏まえた調査計画全般の見直しを適切に行い、県民の皆さんの安全・安心の向上を図ってまいりたいと考えております。
 原発については、新たな知見や問題には速やかに対応を取ることが県民の信頼につながることから、今後も、安全対策には終わりはないとの考えのもと、四国電力に対しては、引き続き、真摯な取り組みを要請いたしましたので、併せてご報告いたします。

平成24年6月19日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(4月28日)

 4月24日に四国電力から報告がありました直流電源装置の補強工事について、本日、同社から工事が完了したとの報告がありましたのでご報告します。
 直流電源装置は、現状のストレステスト評価で地震に対する余裕(裕度)が1.5倍と評価されていますが、工事完了により、この装置の裕度は3倍程度となります。
 なお、他の発電所で今後設置予定となっている免震構造の事務所については、四国電力では、中越沖地震を踏まえた対策として既に建設が完了し、平成23年12月から運用を開始しております。
 私の方からは、引き続き、まだ終わっていない安全対策について、早期に完了するよう要請しておりますので、併せてご報告します。

平成24年4月28日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(4月24日)

 私が4月12日に伊方発電所を訪問した際、四国電力の千葉社長に対し要請しておりました「まだ終わっていない安全対策の早期完了」について、本日、同社から報告がありましたのでご報告します。
 現地では、現状のストレステスト評価で地震に対する余裕(裕度)が1.5倍と評価された直流電源装置について、補強工事の計画が進められていることを確認しましたが、四国電力から、工事を4月25日に開始し、今週中を目途に、この装置の裕度を2倍以上とするとの報告を受けました。
 私の方からは、ストレステスト評価で最も裕度の小さかった直流電源装置だけでなく、残りの揺れ対策や他の安全対策についても、できるだけ早く完了するよう重ねて要請しましたので併せてご報告します。

平成24年4月24日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(4月13日)

 伊方発電所の安全対策については、国から指示のあった緊急安全対策やシビアアクシデント対策のほか、県としてもアディショナル(追加的)な対策を求めてきたところですが、四国電力の原子力本部長からアディショナルな対策として実施してきた亀浦変電所からの配電線の敷設等が3月末までに完了したとの報告があり、また、前回福島第一原発事故直後に訪問して以降に実施された安全対策の実施状況を確認し、中長期的な安全対策の進捗状況を把握するため、4月12日に伊方発電所を訪問しましたのでご報告します。

 原発の安全対策においては、電源と水の確保が重要であるとの観点から、この2点について注目して確認させていただきました。
 まず電源については、地震による津波により発電所内の電源が喪失した場合に、原子炉を冷却するための機器に給電できる電源車が、津波の影響を受けない標高32mの場所に配備され、起動訓練により直ちに給電できる状態となっていることを確認しました。
 また、アディショナルな対策として、四国電力から、発電所近くの標高約100mに位置する亀浦変電所から電線を敷設し、電源強化をする回答を得ていましたが、これについても現地で通電していることを確認し、プラスアルファの送電ルートが確立していることを確認しました。

 次に水の問題については、使用済燃料ピットの冷却として、福島原発にはなかった、消防自動車によるタンクから使用済燃料ピットまでの送水ルートが新たに設置されていますが、この状況や、海水取水用水中ポンプによる海水の注水体制を確認し、通常のポンプが使用できない場合にも、注水できる体制が整っていることを確認しました。

 その他、原子炉建屋内への津波による浸水を防ぐための水密扉が計画を前倒しして建屋下層から順次設置されていることや、ストレステストで地震に対する余裕が1.5倍と評価された直流電源装置の補強工事の準備が整っていることなどを確認しました。

 まだ、アディショナルな対策として要請したおよそ1000ガルの揺れ対策も含め、終わっていない対策がありますので、私の方からは、できるだけ早く完了させるとともに、県への報告連絡体制の堅持、更には整備したハードを適切に扱うための非常時の訓練の充実についても要請しましたので併せてご報告します。

 最後に、伊方発電所の状況についてはこれまで随時報告を受けてきたところですが、今回の訪問で実際に現地を確認し、自分自身の目や耳で確認することで、より正確に認識することができましたことを申し添えます。

平成24年4月13日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(4月9日)

 3月31日、国の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が、数千年単位で発生するあらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波を想定し、その場合の震度分布と津波高を公表しました。県内では、最大震度が7となり、全ての市町で震度6強以上となっています。また、津波高は、愛南町で最大17.3m、宇和海沿岸地域で7.9m以上、また、瀬戸内海側についても3.0~4.0mとなっています。
 私自身、この数字の大きさに驚きを感じておりますが、県民の皆さんも、驚きとともに、大きな不安を感じられていることと思います。
 まだ、国から詳細な説明がありませんが、資料には、震度分布については5つの地震モデルを設定し、また、津波高については11の地震モデルを設定し、その中から、それぞれ最大値を重ね合わせた結果であると記載されています。つまり、一つの地震で発生するものではなく、全ての可能性を積み上げた最大値であり、県民の皆さんには、前提条件を理解していただいたうえで、どのような地震が起きても即座に対応できるよう、日頃から、地震・津波発生時の行動を確認しておいていただくことをお願いしたいと考えています。
 また、伊方発電所への影響については、津波高が3.0mと評価されていますので、発電所の敷地高が約10mであることを考えると十分余裕があります。
 一方、震度については、5強から6強に引き上げられましたが、伊方発電所に最も影響が大きいのは、敷地前面の中央構造線断層帯を震源とする地震であり、伊方発電所の基準地震動は、これを基に570ガルと評価されています。南海トラフを震源とする地震については、これまで94ガルと評価され、今回の震源域の見直しによっても、中央構造線による影響を超えることは考えにくいですが、四国電力からは、国が詳細な評価結果を公表したのち、伊方発電所への影響について報告を受け、県としても、必要であれば、四国電力に対して、追加の安全対策を求めたいと考えています。
 県では、最大クラスの地震・津波に対しては、今回の東日本大震災を踏まえ、被害を最小限に抑える「減災」の視点に重きをおいて対策を講じることとしており、今後とも、県民の皆様に対して、適時適切な情報提供に努め、災害から命と暮らしを守り、安心して生活することができる「愛顔(えがお)あふれる愛媛」の実現に取り組んで参ります。

平成24年4月9日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(12月2日)

 11月28日に四国電力柿木原子力本部長から、(1)今年度2回目となる訪問対話活動の結果について、(2)非常用発電機等設置のための地質調査について、(3)伊方1号機監視試験片の取り出しについて、合わせて3件の報告がありましたのでご報告します。

 一つ目の訪問対話活動の結果についてですが、前回とほぼ同数の約28,500戸を訪問(在宅率51%)し、そのうちの5%の方から、安全性への懸念や、避難方法が定まっていないことへの不安などの厳しい意見をいただいたとの報告を受けました。厳しい意見も含めて、すべて包み隠さず報告、公表する姿勢は大事だと思っております。不在であった方に対しても再度訪問することなどを、改めて要請しました。
 二つ目の地質調査についてですが、福島第一原発事故を踏まえた安全確保対策として、新たな恒設の非常用発電機や事故対応の緊急資機材保管庫の設置に向けた候補地調査のため、12月から約1年かけて地質調査を実施するとの報告を受けました。また、アディショナル(追加的)な対策である亀浦変電所からの配電線敷設の進捗状況について確認したところ、年明けに予定されている伊方2号機の定期検査中に発電所へのつなぎ込みを完了する予定とのことでした。
 三つ目の伊方1号機監視試験片の取り出しについては、8月12日に私から前倒しで実施するよう要請していましたが、試験片の取り出しが終了したとの報告がありました。当初予定していた計画からは3年くらい前倒しされ、結果が出るのは平成25年になる見込みとのことです。
 私の方からは、およそ1,000ガルを目途としたアディショナルな揺れ対策についても、できるだけ早く完了するよう要請いたしましたので併せてご報告申し上げます。

平成23年12月2日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(10月31日)

 愛媛県におきましては、東日本大震災の被災地を長期にわたって支援することを目的に設置している、「えひめ愛顔(えがお)の助け合い基金」を活用して、「被災地学校修学旅行支援事業」を実施しており、今月から来年3月にかけて、被災地から10校1250名の皆さんをお迎えすることとなっております。
 このたび、10月29日(土曜日)に、第一陣となる岩手県立大槌(おおつち)高等学校の皆さんが来県され、同日、歓迎セレモニーを実施しましたので、ご報告させていただきます。
 テレビのニュースで、「震災で何もかも失ったので修学旅行をあきらめる」と話していた被災地の高校生を見て、「何とかしてあげたい」と思ってから約7ヶ月、ようやくこの日を迎えることができましたことを大変うれしく思います。
 これは、ひとえに、県民の皆様が私の呼び掛けに応じ、賛同していただいたからこそ実現できたものであり、ご協力いただいた皆さんに心からお礼を申し上げます。
 セレモニーでは、県内企業等から寄せられた記念品を贈呈する一方で、同校校長先生及び生徒代表から、本事業に対する気持ちのこもったお礼のご挨拶をいただくとともに、今夏の俳句甲子園に招待された3年生が作った句集や、同校職員の皆さんが作った大漁旗の贈呈がありました。県民の皆様の温かいお気持ちが修学旅行生に伝わり、あちらこちらで「愛顔」があふれていたことを、お伝えさせていただきます。
 来県された修学旅行生の皆さんには、本県の高校生と、できるだけ幅広く交流していただく予定であり、お互いのふるさとは遠く離れていますが、同じ時代を生きる高校生同士だからこそ分かり合えることがあると思います。本県の高校生にも、被災地の高校生との交流を通じ、「人を支える価値」の尊さを実感し、有意義な時間を過ごしていただけたらと思っています。
 大槌高校をはじめ、今後、来県される修学旅行生の皆さんには、ぬくもりのある県民性や、東・中・南予のそれぞれ特色のある魅力など、「愛媛らしさ」を存分に味わっていただくことはもとより、今回の修学旅行が、良い思い出となり、明日への糧としていただければ幸いに思います。
 今後も、次のとおり、修学旅行生をお迎えする予定ですので、各地域の皆様におかれましては、温かいお出迎えやおもてなしにより、互いの絆づくりにご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


 宮城県 宮城県水産高校(石巻市)12月14日来県

 石巻好文館高校(石巻市)3月15日来県

 亘理高校(亘理町)12月6日来県

 福島県 原町高校(南相馬市)12月13日来県

 小高工業高校(南相馬市)11月13日来県

 相馬農業高校(南相馬市)11月17日来県

 浪江高校(浪江町)11月8日来県

 浪江高校津島校(浪江町)11月15日来県

 双葉高校(双葉町)1月25日来県

平成23年10月31日
愛媛県知事 中村 時広

 詳細は、被災地学校修学旅行の来県に関する記者発表の要旨について(10月24日)

知事からのメッセージ(10月5日)

 10月4日に四国電力柿木原子力本部長から、ストレステスト評価の進捗状況や2回目の全戸訪問計画の報告を受けました。またこの際に、伊方発電所異常時の通報連絡について、県内全市町へ情報提供するよう要請しましたのでご報告します。

 四国電力に対しては、県との信頼関係はもとより、県民の安全・安心のためには、伊方原発に何かあった際の速やかな情報の伝達が重要であることを、これまでも申し上げてきたところです。こういった観点から、今般、柿木本部長には、現在、県が「愛媛方式」で受けている伊方原発の異常時の情報提供のうち、特に重要度の高いものについて、県の公表にあわせて県内市町に対しても提供するよう要請いたしました。柿木本部長からは早急に対応するとの回答がありましたので、早速、事務局には調整を指示いたしました。

 四国電力では、本年5月から、伊方原発から半径20キロメートル圏内の全戸に対して直接訪問し、伊方原発への不安や疑問に対して、説明や質問に答える対話活動をされたところですが、この活動について、もう一回、10月13日頃から実施する予定であるとの報告を受けました。住民の皆さんの不安払しょくのためにも、直接向き合って説明されることは大事なことだと思いますので、四国電力には、住民の皆さんの声を前回同様にオープンにされるよう要請しておきました。

 なお、伊方3号機のストレステストについては、10月中旬を目途に国へ提出する予定で作業を進めているとの報告を受け、私からは、しっかり実施していくよう要請しましたので、併せてご報告申し上げます。

平成23年10月5日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(8月22日)

 8月12日に四国電力に対して要請しておりました伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の取出しの前倒しについて、本日、四国電力原子力本部柿木本部長から回答がありましたのでご報告します。

 伊方1号機の監視試験片につきましては、現在、平成28年頃に予定している取り出しを、9月4日から始まる次回定期検査期間中に実施することに決定したとの回答をいただきました。
 監視試験片については、計画どおり平成28年に取り出すのもひとつの考えだとは思いますが、県民の安心を確保するためにも、できるだけ早く試験するということを求めるべきではないかと思っており、四国電力においては、その空気をしっかりと受け止めて、要請から1週間という短期間で検討し、速やかに回答いただいたことを評価したいと思います。また、今回取り出す監視試験片の評価結果については、取り出しから2年先になるとのことですが、わかり次第公表していただくことも併せて要請いたしました。

 また、県への速やかな報告の徹底については、関係機関との情報連携が非常に大切であることを再認識し、安全協定に係る事項以外についても今後は連絡するよう、現場をはじめ関係者に周知徹底したとの報告をいただきました。報告・連絡については、信頼関係の一番の源になります。人間のことですからミスがあるのはやむを得ないことですが、次につなげられるかどうかが大事なことだと思っています。四国電力に対しては、これを機会に、より一層の緊密な連携ができるように努力していただきたいと要請いたしました。

平成23年8月22日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(8月12日)

 伊方原発に関して、本日、四国電力の柿木原子力本部長に要請しましたので、ご報告させていただきます。

 原子力発電所の原子炉容器は鋼鉄でできていますが、鋼鉄をはじめとした金属材料は中性子を受けると、金属がもともと持っている破壊に対する強さ(粘り強さ)が低下します。これを中性子照射脆化(ぜいか)といい、粘り強さが低下する温度を脆性遷移温度(ぜいせいせんいおんど)と言います。
 この粘り強さの低下は、万が一の事故時に、高温の原子炉に冷却水が注入され、原子炉容器が急冷された時の原子炉の健全性に影響があるそうです。
 このため、原子力発電所では、運転開始前に、あらかじめ原子炉容器と同じ材料で作った試験片を、原子炉内に装着しておき、この試験片を計画的に取り出して試験等を行い、脆性遷移温度の変化を確認しています。
 伊方原発1号機と同型の加圧水型で、運転開始が2年ほど早い九州電力玄海原発1号機では、平成21年4月に4回目の取り出しを行い、試験した結果、脆性遷移温度が急上昇していることが確認されました。この原因は究明されていませんが、製造過程上の欠陥の可能性を示唆する報道もなされています。
 伊方原発1号機は、これまで3回の試験を行いましたが、これまで異常な値は確認されておりません。また、本県の伊方原発環境安全管理委員会委員の九州大学渡邉准教授によれば、玄海1号機に比べて鋼材中の銅等の不純物濃度が低く、同じことが起こるとは考えにくいとされています。しかしながら、県民の皆さんの安心を確保するためにも、現在平成28年頃に予定されている試験片の取り出しを、前倒しして実施するよう要請いたしました。原子力本部が高松から松山に移転し、すぐ来ていただけるという体制もできましたので、できるだけ速やかに回答をいただけるものと思います。

 また、本日、「伊方原発で16の機器が点検漏れ」との報道がありました。これは、原子力安全・保安院が調査し、その確認した結果を原子力安全委員会へ報告し、公表したものですが、四国電力から県へ報告がありませんでした。この事態は大変遺憾に思っています。安全協定に基づく報告対象ではありませんが、3月の福島原発事故以降の問題でもあり、そして、こうしたことが起こったら速やかに県に報告があってしかるべきと考えています。信頼関係を構築していくうえで大事な問題ですから、二度とこういうことが起こらないように強く要請させていただきました。「報告遅れは信頼に亀裂が入り、隠蔽は信頼が木っ端みじんに吹っ飛ぶ」ということを現場にもう一度再徹底するよう強く申し上げさせていただきましたので併せてご報告申し上げます。

平成23年8月12日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(7月19日)

 東日本大震災の被災地を長期にわたって支援することを目的に、「えひめ愛顔の助け合い基金」を設置させていただきましたが、県内の全市・町、各種団体、企業、個人など、多くの皆さんからご賛同賜っており、現在のところ基金残高は約2億円に達する見込みとなっております。
 本基金は義援金のように目的が限定されているわけではなく、愛媛県が独自に実施するさまざまな事業に充てられてゆきますので、タイムリーな活用が可能となります。また、寄附を寄せられた皆さんから見れば、自らの思いが、具体的にどう役立ったか実感できることも特色です。
 基金のメイン事業である被災地修学旅行支援については、各県教育委員会とやり取りをしてまいりました結果、現段階で分校1校を含め10の高校が、本年10月から来年3月にかけて愛媛県に来られることとなりました。来県予定の高校は、以下のとおりです。
 岩手県 大槌高校(大槌町)

 宮城県 宮城県水産高校(石巻市)

 石巻好文館高校(石巻市)

 亘理高校(亘理町)

 福島県 原町高校(南相馬市)

 小高工業高校(南相馬市)

 相馬農業高校(南相馬市)

 浪江高校(浪江町)

 浪江高校津島分校(浪江町)

 双葉高校(双葉町)

 各校ご来県の際には、可能ならば、東・中・南予の愛媛の高校生たちとの交流も計画し、人を支える尊さを体験する機会につなげることができればと考えています。
 基金事業はその他にも、宮城県の各イベントに「蛇口からのポンジュース」を提供する事業など、現在12事業の実施が決定しておりますので、本ホームページの「助け合い基金の寄附」をご参照願えれば幸いです。

 伊方原子力発電所3号機の再起動問題についてはご案内のとおり、政府の方針が二転三転しており、現段階では全くの白紙の状況にあります。今後は、国によるストレステストの詳細の詰め、作業実施、結果判断が進められていくものと思いますので、その動きを待っているところです。
 なお、事業者たる四国電力に対する愛媛県の対応については、前回お知らせさせていただいたとおりです。

平成23年7月19日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(6月27日)

 定期検査中の「伊方原発3号機再起動」の問題について、ご報告させていただきます。
 先般、海江田経産大臣から、全国の定検中原発に対し、過酷事故対策等が適切に行われたとの理由で再起動の要請がなされました。
 再起動に関しては法律上、地方に権限があるわけではありませんが、福島原発事故を受け、地方の合意無しに動かせる状況ではありません。今回のような全国一律の、簡略な説明だけで、「はい、そうですか」と受け入れられるものでもありません。
 私としては、(1)国の方針、(2)四国電力の姿勢、(3)立地地域の意見の3点を、総合的に見つめて判断する必要があるものと思っています。

 とりわけ事業者たる四国電力の姿勢は重要であり、同社に対しては、
(1)原子力本部の、高松市から松山市への移転
(2)国の基準を上回る電源対策
(3)国の新たな指針を待つことなく実施する、更なる揺れ対策
(4)正常状態以外の全ての事態を県に速やかに報告し、県が公表するという愛媛方式の報告体制の更なる徹底
(5)地元住民に対する真摯な説明
を求めてまいりました。
 これに対し、先般、四国電力から以下の回答が寄せられましたので、ご報告申し上げます。
(1)6月29日に松山市に移転し、取締役副社長である原子力本部長が常駐
(2)国の求めた電源車などの追加配備に加え、変電所から配電線ルートを別途新たに設置
(3)基準地震動570ガルで設計されている伊方原発の耐震裕度を徹底検証し、2倍程度に目標を設定して必要な対策を実施。これに伴い、概ね1000ガル以上にも耐えうる施設とする。
(4)「報告の遅れは信頼に亀裂、隠ぺいは信頼を粉々にする」という認識を、現場に徹底する旨の要請を受諾
(5)伊方発電所から20キロ圏内を対象に、5月11日から全戸個別訪問を実施

 一方、国に対しては、「全国一律、紙切れ一枚の要請文には説得力無し。海江田大臣が立地地域に赴き、自らの言葉で語られることは最低条件」との考えのもと、来県要請を行っています。現段階では、これに対する返答は受けておりません。

 以上2つの動きを受け、立地地域、県の伊方原発環境安全管理委員会、県議会のご意見が示されていくものと思いますので、それらを見ながら総合的に判断していきたいと思います。

 四国電力は、7月10日再起動に向けて作業を進めているとのことですが、県としてはその日程に縛られるものではありません。「条件が整わない段階では、再起動合意は白紙」との考えを伝えております。
 また、MOX燃料については、13か月の運転で安全が確認された16本に加え、当初は5本追加する方針を打ち出していましたが、今回は追加装荷を見送るとの考えが示されましたので併せてご報告申し上げます。

平成23年6月27日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(5月3日)

 連休中を利用して、東北被災地3県(岩手県、宮城県、福島県)に足を運ばせていただきました。訪問の目的は、現地で活動中の県内自治体職員に対する激励と、3県知事との面談を通して支援ニーズのヒントを得ることでした。
 現在、県内自治体職員は、保健師チームが岩手県釜石市で、医療救護チームが宮城県石巻市で、避難所支援チームが宮城県岩沼市で、罹災証明を主に扱う市町合同チームが宮城県山元町で、それぞれがローテーションを組んで活動しています。訪問の前日までは福島県のJビレッジで、災害派遣医療チームも活動していました。全員が使命感を持って、元気に頑張っていたことをご報告申し上げます。
 岩手県知事との面談では、最初に三島高校書道部のメンバーが心を込めて書き上げた作品をお渡ししたところ、被害の大きかった陸前高田市の高田高校に届けてくださる予定とのことでした。交通の便も他県と比較して悪く、マスコミやボランティア関係者も仙台で留まる傾向があるため、実態が全国に伝わりにくいことに悩まれていました。海岸沿いには小さな集落が点在し、それらがほぼ壊滅している状況にあります。仮設住宅の建設場所の確保が課題となっており、避難生活も長期戦になることが避けられません。ボランティアニーズの把握とマッチング、そしてその支援が課題と感じました。
 宮城県知事との面談では、復興に向けた意気込みを伺いました。あくまでも比較でありますが、地の利の関係で物資やボランティアのサポートは、他県に比べて充実しているように感じました。ただ、仙台から離れた地域、例えば石巻市から北、仙台空港から南のエリアでは、岩手県と同じ状況です。石巻市の赤十字病院では、市内全域をケアする組織を組み立てた外科部長と面談、緊急時における医療体制づくりのヒントもいただきました。
 福島県知事との面談では、原子力発電所事故への対応という、誰もが経験したことのない困難な課題に、全力で向き合う決意を伺いました。本県からもスクリーニングチーム、モニタリングチームの派遣などを行って参りましたが、今後もニーズに合わせ、原子力発電所立地各県の協力が必要と感じました。
 また、風評被害による県内農産物や、観光への影響に悩まれているとのことです。県内有数の観光地である「白虎隊」の歴史で有名な会津若松市などは、原子力発電所から遠く離れており、全く安全であるにもかかわらず、観光客のキャンセルが90%にも上っているそうです。風評の払しょく、愛媛県からの観光も支援の課題と思いました。
 3人の知事には、愛媛県に設置した「えひめ愛顔の助け合い基金」のこともお話しいたしました。本県への修学旅行の経費支援や風評被害を受けている被災地の農産物等の販売支援など、様々なニーズにお応えする準備を進めている旨、お伝えさせていただきましたので、皆さんのご協力、どうぞよろしくお願い申し上げます。

平成23年5月3日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(4月14日)

 4月8日に、東日本大震災被災者等支援基金(通称「えひめ愛顔の助け合い基金」)を愛媛県庁に創設させていただき、4月14日から寄附の募集を開始しました。
 この基金は、震災被災者等や県内避難者への支援、現地入りするボランティア活動などの経費に活用していこうとするものです。長い目で見れば、被災地学校からの本県への修学旅行や本県と被災地産品の共同販売事業への支援など、愛媛県ならではの独自事業も考えられます。
 しっかりとした基金運営、思いやりあふれる事業実施などを具体化するため、学識経験者やNPO関係者、行政関係者などによって構成される委員会で、その運営を進めていくこととしています。県民の皆様からのご寄附も募らせていただき、一緒になって被災地支援へつなげていければと思います。
 伊予銀行、愛媛銀行及び愛媛県信用農業協同組合連合会に口座を開設いたしましたので、ご賛同いただけますならば、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。なお、本基金は、寄附金控除の対象にもなります。

 今回の大震災を受け、3月30日に四国電力に対し私から強く要請しておりました、高松本社に設置されている「原子力本部」の県内移転について、4月13日に四国電力社長と面談した際に、社長から移転を実施する旨、正式に回答がありましたので、ご報告申し上げます。
 県民の不安払しょくのためにも、安全対策の更なる推進のためにも、四国電力の姿勢をお示しいただくためにも、その決断を待っていました。原子力事業の責任者が松山市に常駐することにより、スピーディできめ細かいやり取りが可能になるものと思います。しかしながら、これはあくまでもスタートラインであり、これからの具体策が重要であることは言うまでもありません。対応策の強化に向けて、全力を尽くしていきます。

平成23年4月14日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(4月8日)

 3月19日から、県民の皆さんに被災地への物資提供を呼びかけさせていただきましたが、お寄せ下さいました多くのご協力に対して厚くお礼申し上げます。トラック輸送で被災地にしっかりと届けましたこと、謹んでご報告申し上げます。
 これまでに被災地には、全国から続々と物資が寄せられており、今般、被災地各県から「一時、受け入れを停止したい」との連絡がありましたので、お知らせいたします。
 現地の在庫状況により、再度、提供依頼の声が届けられましたら、その際には必要品目をお示しして、呼びかけさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 被災地の一部地域では、一般ボランティアの受け入れもスタートいたしましたが、全体的には、依然として、十分な受け入れ態勢が整っていません。そんな中、愛媛県の医療チームが活動したことでつながりのできた宮城県女川町から、復旧に際して、人出を必要としているとの情報を得たため、愛媛県社会福祉協議会を通じて募集をいたしました。
 ボランティア保険や往復の交通手段(バス)は愛媛県で手配するものの、現地は停電・断水、日程は3泊4日、寝泊りはバス車中という劣悪な条件にもかかわらず、定員を上回る応募をいただきました。ボランティアの皆さんの温かいお気持ちに、心から感謝申し上げます。今後とも、現地の要請をしっかりと把握しながら、順次、募集をさせていただきます。

 被災地支援は長期にわたることが避けられません。避難者の受け入れ、ボランティアのサポートは言うまでもなく、やがては愛媛県ならではの、被災地域に対する思いやりのある独自事業も行っていくことになろうかと思います。そうした事業を県民の皆さんと一緒に進めていくために、今般、愛媛県に「えひめ愛顔の助け合い基金」を創設することといたしました。
 お寄せいただいたご寄附を、目に見える形で被災地支援のために活用していく基金です。税制上の優遇措置も受けられますので、ご賛同いただける方があれば、ご協力下さいますようお願い申し上げます。

 愛媛県の原子力センターでは、常時、大気や水のサンプリング調査を実施し、きめ細かく数値の公表をしております。4月以降、大気中から、通常、検出されない放射性のヨウ素、セシウム、テルルなどが測定されていますが、いずれもごくごく微量であること(法令上の基準値の230分の1~52万分の1)、また、伊方発電所から出ていないことは、その都度確認していることから、遠方より飛来したものと推測されます。人体への影響は全くないレベルですので、どうぞご安心下さい。
 今後とも、観測結果をしっかりと公表していきますので、県民の皆さんにおかれましては、なにとぞ冷静に対応願えればと思います。

平成23年4月8日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(3月30日)

 震災から3週間が経過しましたが、被害の大きさゆえに被災地ではいまだに復興の目途も立たない状況が続いています。他地域からの長期にわたる支援が必要とされていることは言うまでもありません。一方で、現地ニーズに沿った的確な対応も求められています。

 物資については受け入れ態勢が整わないうちに送ると、被災者に届けることができないだけでなく、物資の保管や仕分けで現地の余計な負担の原因となってしまいます。例えばニュースの中で、「寒いので困っている」という避難者の声が流れると、見ていた方は「毛布や厚着を送ってあげよう」と思われるでしょう。しかしながら、場合によっては既に現地の災害本部に防寒用具が山積みになっていることもあります。本部から避難所への輸送手段が確保できていない場合に、こうしたミスマッチが起こります。各自治体では現地と常に連絡を取り合って、輸送状況や必要品目の情報をキャッチしながら送っていますので、個人からの物資提供については、県・市・町の呼びかけに基づいて行っていただくと確実です。

 悲惨な現場のシーンを見て、「現地でボランティア活動を」と思う方も少なくないと思いますが、態勢が整わないうちに現地入りした場合、活動の場を見つけることも困難です。ましてや今回は、燃料不足で立ち往生するリスクもありました。がれきや土砂の撤去も、とても素人が手を付けられるレベルではありません。二次災害に巻き込まれるリスクも高いのです。現段階でのボランティアニーズは、避難所における介護やヘルパーといった限定的なものです。県外から一般ボランティアが入る時は、現地の情勢把握が不可欠となります。愛媛県では、時期を見て愛媛県社会福祉協議会及び市町社会福祉協議会が窓口を設置して、ボランティア登録をさせていただく予定です。そして被災地の要請に基づいて呼びかけさせていただき、必要に応じて現地入りのためのバスなどを手配する予定です。

 避難者の受け入れも難しい課題です。「困っている時こそ救いの手を」という気持ちで、大勢迎えられたらと考えられる方も多いのではと思いますが、これもやはり被災者の方々の心情を十分に尊重して進めなければ、押し付けになってしまいます。愛媛県では福島県に対し、バスによる愛媛県への足の確保も含めて、受け入れの気持ちをお伝えしましたが、「故郷に戻りたい、戻るためにもできるだけ近くに、という声が圧倒的であり、最後の最後にお願いするかもしれません」とのことでした。要請があり次第、受け入れられるよう待機をしています。

 人的派遣につきましては、派遣を円滑に行うために既に宮城県に派遣している現地連絡員に続いて、避難所業務をサポートするための職員を宮城県岩沼市の避難所2か所に送ります。また、「救出・救命」から「ケア・復興」にニーズが移ってまいりますので、養護教員や土木技師の先遣隊を現地に送り、ある程度の期間を想定した支援体制の構築準備に入っています。福島県からは避難住民に対する被ばく量測定を行うスクリーニングチームと環境放射線測定のモニタリングチームの派遣要望が寄せられました。各県とも同県への職員派遣には慎重でしたが、愛媛県では派遣職員の意思確認、放射線計測器の個別携帯、チームごとの放射線測定専門職員配置、帰還決定についての裁量権付与を条件にして、現地入りしてもらっています。

 次に伊方原子力発電所関連についてのご報告をさせていただきます。震災発生直後に四国電力に対して、国の基準を上回る安全対策の早期実施を求めてまいりましたが、当面の対策として以下の項目を実施する旨の回答がありました。
 (1)電源確保策
 電源車の配備(75kVA 3台、300kVA 3台、4500kVA 1台)
 (2)外部電源強化策
 標高約100mに位置する亀浦変電所(伊方発電所に近接)から、
 新たに電線を1・2・3号機用としてそれぞれ敷設
 (3)冷却水確保対策
 各号機ごとに海水ポンプモーター予備品の手配
 (4)浸水対策
 建屋における水密扉の設置

 また、私の方からは更に報告・連絡体制の徹底を要請しています。他県とは異なり、愛媛県では伊方原子力発電所で何らかの異変があった場合、事の大小にかかわらず全て愛媛県に報告され、公表につきましては基準に従って愛媛県が行う仕組みとなっています。今後ともこの「愛媛方式」を維持することによって、徹底した情報収集と管理につなげます。
 加えて愛媛県民に対する四国電力の姿勢、安全策徹底の意思を示していただくためにも、香川県にある原子力本部を、愛媛県に移転するよう強く要請いたしました。必ずや応えてくれるものと信じています。

平成23年3月30日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(3月20日)

 3月17日に東日本大震災に関するメッセージを掲載させていただきましたが、その後の動きや情報に関して追加でお知らせいたします。

 物資提供につきましては、被災地の意向確認と輸送手段の確保を進めながら、第一段階で県・市・町の備蓄物資、第二段階で民間企業の提供物資を取りまとめてまいりました。
 時間の経過とともに、徐々にではありますが現地の受け入れ態勢も進み始めましたので、3月19日より県民の皆さんに対して物資提供の呼び掛けをスタートさせていただきました。愛媛県では県内全自治体と協力体制を構築、それぞれの市・町に窓口を設けていただいております。
 全国知事会において各県ごとに地域割りされ、愛媛県は「宮城県」への物資提供を担当します。同県の要望を直接確認したうえで、「13品目」の物資を抽出させていただきました。なお、お手数をお掛けしますが、被災地での混乱を招かないよう、可能であるならば同一品目を箱詰したうえでご提供くだされば幸いです。
 県民の皆さんからそれぞれの地域にお届けいただいた物資は、愛媛県が一旦収集して順次現地に送る体制をとらせていただきます。皆さんの温かいご協力を、心よりお願い申し上げます。
 次に原子力発電所関連についてお知らせします。
 震災発生直後に、私から四国電力社長に対し、国の基準を上回る追加安全策の速やかな検討を要請いたしました。それを受けて3月18日に同社より、伊方原子力発電所に新たに「移動式発電機車」を導入する方針を決定したとの連絡がありましたので、ご報告させていただきます。なお、導入時期は現段階では未定です。
 前回のメッセージで、福島第一原子力発電所の岩盤における地震動データの必要性を指摘させていただきました。あくまでも新聞報道ですので確定数値ではありませんが、観測された揺れは、データの残っていた6号機で最大「431ガル」(原子炉建屋の基盤部分)であったことが判明したとのことです。
 3号機と4号機は作業員が計器を見て報告しており、こちらの最大数値は3号機で「507ガル」とのことです。1・2・5号機につきましては、現段階では不明です。なお、伊方原子力発電所における基準地震動は、前回お知らせしたとおり、基礎岩盤で「570ガル」です。
 福島第一原子力発電所で運転中だった原子炉は、震災発生直後に自動停止しておりましたので、事故拡大の最大要因は津波による浸水被害と推測されます。伊方原子力発電所の津波に関する情報は、前回メッセージをご参考願えれば幸いです。
 以上、取り急ぎご報告まで。

平成23年3月20日
愛媛県知事 中村 時広

知事からのメッセージ(3月17日)

 東北地方を中心に未曽有の災害をもたらした東日本大震災。更には、福島原子力発電所事故、そしてこれらに伴う救援活動、避難所運営、復旧作業など、いずれも現地の混乱が続く中で手さぐりの状況が続いています。今は誰が悪い、何が悪いと議論するよりも、ともかく人命第一でやれるべきことを行う段階だと思います。
 愛媛県では県下の市・町と協力しながら、防災ヘリ、医療チーム、消防隊員、警察官など、救出・救命に即対応できる人員の派遣を実施いたしております。今後は復旧のための土木技師、精神的なケアにあたる保健師、養護教員などを、現地の要請に応じていつでも派遣できるよう体制を整えているところです。
 物資につきましては、被災地各県と連日連絡をとりながら、受け入れ体制を確認した上で進めております。現地での受け入れ体制が整っていない中で物資を送ると、倉庫に山積みされていくだけで、住民の皆さんに届きません。また、現場では、その保管・処理業務で更なる混乱を招く可能性も出てきます。これは過去の大災害の教訓でもあります。
 そこで愛媛県は、第一段階として県・市町の備蓄物資の搬送を行ったところであり、現在は第二段階として災害協定を締結している民間企業を中心に物資搬送の準備を進めています。今後、第三段階では被災地のニーズを把握しながら、県民の皆さんにもご協力をお願いさせていただきたいと思います。
 また、今回被災された方に対する住居の提供につきましては、公営住宅・県職員住宅を提供する準備を整えています。特に福島県で原子力発電所事故により避難される方につきましては、国からは発電所から20キロ以内の居住者を対象に受け入れるよう要請がありましたが、愛媛県では原子力発電所立地地域である福島県全域の方々に対象者を拡大して受け入れをしたいと思っています。
 皆さんがニュースを見て何か送りたい、何かしたいと思われるのは当然で、その善意とお気持ちは何よりも尊いものだと思います。ただ、大切なのは物資がしっかりと被災地の住民に届くことであり、それを最優先しておりますのでご理解願えればと思います。
 現段階で皆さんにとにかくお願いしたいのは、募金活動と献血です。献血につきましては血小板製剤の有効期間が4日間しかないため、できるだけ長期にわたって万遍なく提供することが課題となります。なにとぞご理解の上、ご協力下さいますようお願い申し上げます。
 次に深刻な事故が発生した原子力発電所について、現段階でのご報告をいたします。
 愛媛県は四国唯一の原子力発電所立地県であるために、県民の皆さんの不安も大きくなっているものと思います。そこでまず四国電力社長を県庁に呼び、今回の事故の情報収集と分析、規定にしばられない更なる安全策の検討と実施などを強く求めさせていただきました。
 また、冷静な判断が必要との認識を持って、翌日、伊方原子力発電所に赴き、現時点での疑問点について確認を行って参りましたのでご報告させていただきます。私も専門家ではありませんから、皆さんと同じ視点で疑問点をぶつけて参りました。それを差し引いてご参考願えれば幸いです。

(1)地震のメカニズムと津波(ポイント―プレート型・水深)
 今回の地震は、震源地が三陸沖の海底約一万メートルの深い場所で発生したプレート型地震です。太平洋プレートが沈み込む境界でひずみがたまり、陸のプレートが跳ね上がって起きました。大きいところで8メートルもずれ動いたとも言われていますが、深海であったが故に海水の容量も膨大で、それが大津波につながったものと推測されます。
 愛媛県近くで同様のプレート型地震が発生する可能性があるのは、四国南方沖を震源とする南海地震です。この場合は伊方発電所からかなりの距離があり、また内海という地理的な条件もありますので東北地域とは異なった状況となります。同地点でマグニチュード8.6の地震が発生した場合、伊方発電所で想定される津波は「1.90メートル」とのことです。(満潮時)
 一方で、伊方発電所前面海域で地震が発生した場合も懸念されます。震源地は近くなりますが、プレート型ではなく、断層が横ずれすることによって地震が生じます。また、この海域は水深が80メートルほどで、海水の容量は少なくなります。同地点でマグニチュード7.8の地震が発生した場合、横ずれすることでは津波の発生はほとんどないことから、縦ずれすると仮定してより厳しく評価した結果、伊方発電所で想定される津波は「4.25メートル」とのことです。(満潮時)
 伊方発電所は「海抜10メートル地点」に立地しており、予想される津波と立地場所からすれば、福島の条件とは異なると思います。ちなみに福島発電所は太平洋に直接面している場所ではありますが、海抜6メートルに立地された施設であったとのことです。伊方発電所の場合は立地条件から見て、津波以上に揺れに対する対策が重要であるように思います。もちろんこうした数字が妥当かどうかは、今後とも常に検証が必要であることは言うまでもありません。

(2)揺れ(ポイント―基準地震動)
 伊方発電所の場合、あまり聞きなれないガルという単位なのですが、「570ガル」という地震動で評価されています。この数字を取り扱う上で注意すべきは、どの場所で、どのような条件下なのかということです。
 例えば地盤の強弱によっては、同じ揺れの強さでも数字は大きく変わります。また同じ場所でも地下、地上、建物といった観測する位置によっても大きく変わります。建物の高いところで観測すれば、必然的に数字は大きくなります。ニュースなどでこの数字が単純に示され、それが独り歩きすることには注意が必要です。
 伊方発電所の「570ガル」は、岩盤を基準としています。先ほどお話し申し上げた南海地震の場合、伊方発電所敷地での最大加速度は「94ガル」と想定されていますので、数字的には余裕があります。
 ただ、ここで是が非でも知りたいのは、今回、福島発電所の岩盤でどの程度の数字が計測されたのかということです。その数字が明らかになれば、「570ガル」の妥当性が判断できるのではないかと思います。

(3)ディーゼル発電機(ポイント―設置場所)
 福島発電所の被害が拡大した最大の原因は、発電機が使用不能となって冷却水の供給が滞ったことにあるのは間違いありません。通常の電源が喪失しますと、非常用のディーゼル発電機が動き出すことになっています。
 福島発電所ではこの発電機が「地下」に設置されており、津波によって機能停止に陥りました。伊方発電所のディーゼル発電機の設置場所は「地上10メートル」であり、この点は大きな相違点と言えます。
 今回は最悪のケースとして冷却水を注入するため、通常配備されている消防自動車が投入されました。今後は冷却水を注入する電源の確保などがこれで十分なのか、国レベルで議論が起こってくると思います。

 以上、県民の皆さんの不安を少しでも解消できればと願いつつ、ご報告させていただきます。今後とも、県下の引き続き安全確保策に真摯に取り組みますとともに、エネルギー政策を所管する国に対して、地域から様々な申し入れや要請を行うとともに、四国唯一の原子力発電所立地県として、四国電力に対して徹底した安全対策を求めていきます。
 県民の皆さんにおかれましてはどうぞ冷静に受け止めて頂き、当面は被災地支援に全力を尽くすことにご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
 なお、被災地への人的派遣を行うことにより、県内体制は手薄になることが避けられません。国難であるということ、また被害がなかった地域だからこそやらねばならないということを受け止め、お一人、お一人が今まで以上に日常生活の中での防火や交通事故などに気を付けていただければ幸いです。

平成23年3月17日
愛媛県知事 中村 時広


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