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伊方原発に関する知事メッセージ(平成23年)

ページID:0014979 更新日:2013年8月1日 印刷ページ表示
伊方原発に関する知事メッセージ(平成23年)
日付 内容
平成23年12月2日 訪問対話活動の結果、非常用発電機等設置のための地質調査及び伊方1号機監視試験片の取出しの報告について
平成23年10月5日 ストレステスト評価の進捗状況及び全戸訪問計画の報告について
平成23年8月22日 伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の取出しの前倒し及び県への速やかな報告の徹底に係る報告について
平成23年8月12日 伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の取出しの前倒し及び県への速やかな報告の徹底に係る要請について
平成23年7月19日 伊方3号機のストレステストについて
平成23年6月27日 伊方3号機の追加安全対策について
平成23年4月14日 原子力本部の県内移転について
平成23年4月8日 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた監視強化結果について
平成23年3月30日 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた伊方発電所の追加安全対策の実施について
平成23年3月20日 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた移動式発電機車の導入について
平成23年3月17日 東京電力福島第一原子力発電所事故の発生及び追加安全対策の要請について

平成23年12月2日 訪問対話活動の結果、非常用発電機等設置のための地質調査及び伊方1号機監視試験片の取出しの報告について

11月28日に四国電力柿木原子力本部長から、(1)今年度2回目となる訪問対話活動の結果について、(2)非常用発電機等設置のための地質調査について、(3)伊方1号機監視試験片の取り出しについて、合わせて3件の報告がありましたのでご報告します。

一つ目の訪問対話活動の結果についてですが、前回とほぼ同数の約28,500戸を訪問(在宅率51%)し、そのうちの5%の方から、安全性への懸念や、避難方法が定まっていないことへの不安などの厳しい意見をいただいたとの報告を受けました。厳しい意見も含めて、すべて包み隠さず報告、公表する姿勢は大事だと思っております。不在であった方に対しても再度訪問することなどを、改めて要請しました。

二つ目の地質調査についてですが、福島第一原発事故を踏まえた安全確保対策として、新たな恒設の非常用発電機や事故対応の緊急資機材保管庫の設置に向けた候補地調査のため、12月から約1年かけて地質調査を実施するとの報告を受けました。また、アディショナル(追加的)な対策である亀浦変電所からの配電線敷設の進捗状況について確認したところ、年明けに予定されている伊方2号機の定期検査中に発電所へのつなぎ込みを完了する予定とのことでした。

三つ目の伊方1号機監視試験片の取り出しについては、8月12日に私から前倒しで実施するよう要請していましたが、試験片の取り出しが終了したとの報告がありました。当初予定していた計画からは3年くらい前倒しされ、結果が出るのは平成25年になる見込みとのことです。
私の方からは、およそ1,000ガルを目途としたアディショナルな揺れ対策についても、できるだけ早く完了するよう要請いたしましたので併せてご報告申し上げます。

 

平成23年12月2日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年10月5日 ストレステスト評価の進捗状況及び全戸訪問計画の報告について

10月4日に四国電力柿木原子力本部長から、ストレステスト評価の進捗状況や2回目の全戸訪問計画の報告を受けました。またこの際に、伊方発電所異常時の通報連絡について、県内全市町へ情報提供するよう要請しましたのでご報告します。

四国電力に対しては、県との信頼関係はもとより、県民の安全・安心のためには、伊方原発に何かあった際の速やかな情報の伝達が重要であることを、これまでも申し上げてきたところです。こういった観点から、今般、柿木本部長には、現在、県が「愛媛方式」で受けている伊方原発の異常時の情報提供のうち、特に重要度の高いものについて、県の公表にあわせて県内市町に対しても提供するよう要請いたしました。柿木本部長からは早急に対応するとの回答がありましたので、早速、事務局には調整を指示いたしました。

四国電力では、本年5月から、伊方原発から半径20キロメートル圏内の全戸に対して直接訪問し、伊方原発への不安や疑問に対して、説明や質問に答える対話活動をされたところですが、この活動について、もう一回、10月13日頃から実施する予定であるとの報告を受けました。住民の皆さんの不安払しょくのためにも、直接向き合って説明されることは大事なことだと思いますので、四国電力には、住民の皆さんの声を前回同様にオープンにされるよう要請しておきました。

なお、伊方3号機のストレステストについては、10月中旬を目途に国へ提出する予定で作業を進めているとの報告を受け、私からは、しっかり実施していくよう要請しましたので、併せてご報告申し上げます。

 

平成23年10月5日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年8月22日 伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の取出しの前倒し及び県への速やかな報告の徹底に係る報告について

8月12日に四国電力に対して要請しておりました伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の取出しの前倒しについて、本日、四国電力原子力本部柿木本部長から回答がありましたのでご報告します。

伊方1号機の監視試験片につきましては、現在、平成28年頃に予定している取り出しを、9月4日から始まる次回定期検査期間中に実施することに決定したとの回答をいただきました。
監視試験片については、計画どおり平成28年に取り出すのもひとつの考えだとは思いますが、県民の安心を確保するためにも、できるだけ早く試験するということを求めるべきではないかと思っており、四国電力においては、その空気をしっかりと受け止めて、要請から1週間という短期間で検討し、速やかに回答いただいたことを評価したいと思います。また、今回取り出す監視試験片の評価結果については、取り出しから2年先になるとのことですが、わかり次第公表していただくことも併せて要請いたしました。

また、県への速やかな報告の徹底については、関係機関との情報連携が非常に大切であることを再認識し、安全協定に係る事項以外についても今後は連絡するよう、現場をはじめ関係者に周知徹底したとの報告をいただきました。報告・連絡については、信頼関係の一番の源になります。人間のことですからミスがあるのはやむを得ないことですが、次につなげられるかどうかが大事なことだと思っています。四国電力に対しては、これを機会に、より一層の緊密な連携ができるように努力していただきたいと要請いたしました。

 

平成23年8月22日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年8月12日 伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の取出しの前倒し及び県への速やかな報告の徹底に係る要請について

伊方原発に関して、本日、四国電力の柿木原子力本部長に要請しましたので、ご報告させていただきます。

原子力発電所の原子炉容器は鋼鉄でできていますが、鋼鉄をはじめとした金属材料は中性子を受けると、金属がもともと持っている破壊に対する強さ(粘り強さ)が低下します。これを中性子照射脆化(ぜいか)といい、粘り強さが低下する温度を脆性遷移温度(ぜいせいせんいおんど)と言います。

この粘り強さの低下は、万が一の事故時に、高温の原子炉に冷却水が注入され、原子炉容器が急冷された時の原子炉の健全性に影響があるそうです。

このため、原子力発電所では、運転開始前に、あらかじめ原子炉容器と同じ材料で作った試験片を、原子炉内に装着しておき、この試験片を計画的に取り出して試験等を行い、脆性遷移温度の変化を確認しています。

伊方原発1号機と同型の加圧水型で、運転開始が2年ほど早い九州電力玄海原発1号機では、平成21年4月に4回目の取り出しを行い、試験した結果、脆性遷移温度が急上昇していることが確認されました。この原因は究明されていませんが、製造過程上の欠陥の可能性を示唆する報道もなされています。

伊方原発1号機は、これまで3回の試験を行いましたが、これまで異常な値は確認されておりません。また、本県の伊方原発環境安全管理委員会委員の九州大学渡邉准教授によれば、玄海1号機に比べて鋼材中の銅等の不純物濃度が低く、同じことが起こるとは考えにくいとされています。しかしながら、県民の皆さんの安心を確保するためにも、現在平成28年頃に予定されている試験片の取り出しを、前倒しして実施するよう要請いたしました。原子力本部が高松から松山に移転し、すぐ来ていただけるという体制もできましたので、できるだけ速やかに回答をいただけるものと思います。

また、本日、「伊方原発で16の機器が点検漏れ」との報道がありました。これは、原子力安全・保安院が調査し、その確認した結果を原子力安全委員会へ報告し、公表したものですが、四国電力から県へ報告がありませんでした。この事態は大変遺憾に思っています。安全協定に基づく報告対象ではありませんが、3月の福島原発事故以降の問題でもあり、そして、こうしたことが起こったら速やかに県に報告があってしかるべきと考えています。信頼関係を構築していくうえで大事な問題ですから、二度とこういうことが起こらないように強く要請させていただきました。「報告遅れは信頼に亀裂が入り、隠蔽は信頼が木っ端みじんに吹っ飛ぶ」ということを現場にもう一度再徹底するよう強く申し上げさせていただきましたので併せてご報告申し上げます。

 

平成23年8月12日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年7月19日 伊方3号機のストレステストについて

伊方原子力発電所3号機の再起動問題についてはご案内のとおり、政府の方針が二転三転しており、現段階では全くの白紙の状況にあります。今後は、国によるストレステストの詳細の詰め、作業実施、結果判断が進められていくものと思いますので、その動きを待っているところです。

なお、事業者たる四国電力に対する愛媛県の対応については、前回お知らせさせていただいたとおりです。

 

平成23年7月19日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年6月27日 伊方3号機の追加安全対策について

定期検査中の「伊方原発3号機再起動」の問題について、ご報告させていただきます。

先般、海江田経産大臣から、全国の定検中原発に対し、過酷事故対策等が適切に行われたとの理由で再起動の要請がなされました。

再起動に関しては法律上、地方に権限があるわけではありませんが、福島原発事故を受け、地方の合意無しに動かせる状況ではありません。今回のような全国一律の、簡略な説明だけで、「はい、そうですか」と受け入れられるものでもありません。

私としては、(1)国の方針、(2)四国電力の姿勢、(3)立地地域の意見の3点を、総合的に見つめて判断する必要があるものと思っています。

とりわけ事業者たる四国電力の姿勢は重要であり、同社に対しては、

 (1)原子力本部の、高松市から松山市への移転

 (2)国の基準を上回る電源対策

 (3)国の新たな指針を待つことなく実施する、更なる揺れ対策

 (4)正常状態以外の全ての事態を県に速やかに報告し、県が公表するという愛媛方式の報告体制の更なる徹底

 (5)地元住民に対する真摯な説明

を求めてまいりました。

これに対し、先般、四国電力から以下の回答が寄せられましたので、ご報告申し上げます。

 (1)6月29日に松山市に移転し、取締役副社長である原子力本部長が常駐

 (2)国の求めた電源車などの追加配備に加え、変電所から配電線ルートを別途新たに設置

 (3)基準地震動570ガルで設計されている伊方原発の耐震裕度を徹底検証し、2倍程度に目標を設定して必要な対策を実施。これに伴い、概ね1000ガル以上にも耐えうる施設とする。

 (4)「報告の遅れは信頼に亀裂、隠ぺいは信頼を粉々にする」という認識を、現場に徹底する旨の要請を受諾

 (5)伊方発電所から20キロ圏内を対象に、5月11日から全戸個別訪問を実施

一方、国に対しては、「全国一律、紙切れ一枚の要請文には説得力無し。海江田大臣が立地地域に赴き、自らの言葉で語られることは最低条件」との考えのもと、来県要請を行っています。現段階では、これに対する返答は受けておりません。

以上2つの動きを受け、立地地域、県の伊方原発環境安全管理委員会、県議会のご意見が示されていくものと思いますので、それらを見ながら総合的に判断していきたいと思います。

四国電力は、7月10日再起動に向けて作業を進めているとのことですが、県としてはその日程に縛られるものではありません。「条件が整わない段階では、再起動合意は白紙」との考えを伝えております。
また、MOX燃料については、13か月の運転で安全が確認された16本に加え、当初は5本追加する方針を打ち出していましたが、今回は追加装荷を見送るとの考えが示されましたので併せてご報告申し上げます。

 

平成23年6月27日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年4月14日 原子力本部の県内移転について

今回の大震災を受け、3月30日に四国電力に対し私から強く要請しておりました、高松本社に設置されている「原子力本部」の県内移転について、4月13日に四国電力社長と面談した際に、社長から移転を実施する旨、正式に回答がありましたので、ご報告申し上げます。

県民の不安払しょくのためにも、安全対策の更なる推進のためにも、四国電力の姿勢をお示しいただくためにも、その決断を待っていました。原子力事業の責任者が松山市に常駐することにより、スピーディできめ細かいやり取りが可能になるものと思います。しかしながら、これはあくまでもスタートラインであり、これからの具体策が重要であることは言うまでもありません。対応策の強化に向けて、全力を尽くしていきます。

 

平成23年4月14日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年4月8日 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた監視強化結果について

愛媛県の原子力センターでは、常時、大気や水のサンプリング調査を実施し、きめ細かく数値の公表をしております。4月以降、大気中から、通常、検出されない放射性のヨウ素、セシウム、テルルなどが測定されていますが、いずれもごくごく微量であること(法令上の基準値の230分の1~52万分の1)、また、伊方発電所から出ていないことは、その都度確認していることから、遠方より飛来したものと推測されます。人体への影響は全くないレベルですので、どうぞご安心下さい。

今後とも、観測結果をしっかりと公表していきますので、県民の皆さんにおかれましては、なにとぞ冷静に対応願えればと思います。

 

平成23年4月8日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年3月30日 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた伊方発電所の追加安全対策の実施について

次に伊方原子力発電所関連についてのご報告をさせていただきます。震災発生直後に四国電力に対して、国の基準を上回る安全対策の早期実施を求めてまいりましたが、当面の対策として以下の項目を実施する旨の回答がありました。

(1)電源確保策

電源車の配備(75kVA3台、300kVA3台、4500kVA1台)

(2)外部電源強化策

標高約100mに位置する亀浦変電所(伊方発電所に近接)から、新たに電線を1・2・3号機用としてそれぞれ敷設

(3)冷却水確保対策

各号機ごとに海水ポンプモーター予備品の手配

(4)浸水対策

建屋における水密扉の設置

 

また、私の方からは更に報告・連絡体制の徹底を要請しています。他県とは異なり、愛媛県では伊方原子力発電所で何らかの異変があった場合、事の大小にかかわらず全て愛媛県に報告され、公表につきましては基準に従って愛媛県が行う仕組みとなっています。今後ともこの「愛媛方式」を維持することによって、徹底した情報収集と管理につなげます。
加えて愛媛県民に対する四国電力の姿勢、安全策徹底の意思を示していただくためにも、香川県にある原子力本部を、愛媛県に移転するよう強く要請いたしました。必ずや応えてくれるものと信じています。

 

平成23年3月30日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年3月20日 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた移動式発電機車の導入について

次に原子力発電所関連についてお知らせします。

震災発生直後に、私から四国電力社長に対し、国の基準を上回る追加安全策の速やかな検討を要請いたしました。それを受けて3月18日に同社より、伊方原子力発電所に新たに「移動式発電機車」を導入する方針を決定したとの連絡がありましたので、ご報告させていただきます。なお、導入時期は現段階では未定です。

前回のメッセージで、福島第一原子力発電所の岩盤における地震動データの必要性を指摘させていただきました。あくまでも新聞報道ですので確定数値ではありませんが、観測された揺れは、データの残っていた6号機で最大「431ガル」(原子炉建屋の基盤部分)であったことが判明したとのことです。

3号機と4号機は作業員が計器を見て報告しており、こちらの最大数値は3号機で「507ガル」とのことです。1・2・5号機につきましては、現段階では不明です。なお、伊方原子力発電所における基準地震動は、前回お知らせしたとおり、基礎岩盤で「570ガル」です。

福島第一原子力発電所で運転中だった原子炉は、震災発生直後に自動停止しておりましたので、事故拡大の最大要因は津波による浸水被害と推測されます。伊方原子力発電所の津波に関する情報は、前回メッセージをご参考願えれば幸いです。

 

平成23年3月20日
愛媛県知事 中村 時広

平成23年3月17日 東京電力福島第一原子力発電所事故の発生及び追加安全対策の要請について

次に深刻な事故が発生した原子力発電所について、現段階でのご報告をいたします。

愛媛県は四国唯一の原子力発電所立地県であるために、県民の皆さんの不安も大きくなっているものと思います。そこでまず四国電力社長を県庁に呼び、今回の事故の情報収集と分析、規定にしばられない更なる安全策の検討と実施などを強く求めさせていただきました。

また、冷静な判断が必要との認識を持って、翌日、伊方原子力発電所に赴き、現時点での疑問点について確認を行って参りましたのでご報告させていただきます。私も専門家ではありませんから、皆さんと同じ視点で疑問点をぶつけて参りました。それを差し引いてご参考願えれば幸いです。

(1)地震のメカニズムと津波(ポイント―プレート型・水深)

今回の地震は、震源地が三陸沖の海底約一万メートルの深い場所で発生したプレート型地震です。太平洋プレートが沈み込む境界でひずみがたまり、陸のプレートが跳ね上がって起きました。大きいところで8メートルもずれ動いたとも言われていますが、深海であったが故に海水の容量も膨大で、それが大津波につながったものと推測されます。
愛媛県近くで同様のプレート型地震が発生する可能性があるのは、四国南方沖を震源とする南海地震です。この場合は伊方発電所からかなりの距離があり、また内海という地理的な条件もありますので東北地域とは異なった状況となります。同地点でマグニチュード8.6の地震が発生した場合、伊方発電所で想定される津波は「1.90メートル」とのことです。(満潮時)
一方で、伊方発電所前面海域で地震が発生した場合も懸念されます。震源地は近くなりますが、プレート型ではなく、断層が横ずれすることによって地震が生じます。また、この海域は水深が80メートルほどで、海水の容量は少なくなります。同地点でマグニチュード7.8の地震が発生した場合、横ずれすることでは津波の発生はほとんどないことから、縦ずれすると仮定してより厳しく評価した結果、伊方発電所で想定される津波は「4.25メートル」とのことです。(満潮時)
伊方発電所は「海抜10メートル地点」に立地しており、予想される津波と立地場所からすれば、福島の条件とは異なると思います。ちなみに福島発電所は太平洋に直接面している場所ではありますが、海抜6メートルに立地された施設であったとのことです。伊方発電所の場合は立地条件から見て、津波以上に揺れに対する対策が重要であるように思います。もちろんこうした数字が妥当かどうかは、今後とも常に検証が必要であることは言うまでもありません。

(2)揺れ(ポイント―基準地震動)

伊方発電所の場合、あまり聞きなれないガルという単位なのですが、「570ガル」という地震動で評価されています。この数字を取り扱う上で注意すべきは、どの場所で、どのような条件下なのかということです。
例えば地盤の強弱によっては、同じ揺れの強さでも数字は大きく変わります。また同じ場所でも地下、地上、建物といった観測する位置によっても大きく変わります。建物の高いところで観測すれば、必然的に数字は大きくなります。ニュースなどでこの数字が単純に示され、それが独り歩きすることには注意が必要です。
伊方発電所の「570ガル」は、岩盤を基準としています。先ほどお話し申し上げた南海地震の場合、伊方発電所敷地での最大加速度は「94ガル」と想定されていますので、数字的には余裕があります。
ただ、ここで是が非でも知りたいのは、今回、福島発電所の岩盤でどの程度の数字が計測されたのかということです。その数字が明らかになれば、「570ガル」の妥当性が判断できるのではないかと思います。

(3)ディーゼル発電機(ポイント―設置場所)

福島発電所の被害が拡大した最大の原因は、発電機が使用不能となって冷却水の供給が滞ったことにあるのは間違いありません。通常の電源が喪失しますと、非常用のディーゼル発電機が動き出すことになっています。
福島発電所ではこの発電機が「地下」に設置されており、津波によって機能停止に陥りました。伊方発電所のディーゼル発電機の設置場所は「地上10メートル」であり、この点は大きな相違点と言えます。
今回は最悪のケースとして冷却水を注入するため、通常配備されている消防自動車が投入されました。今後は冷却水を注入する電源の確保などがこれで十分なのか、国レベルで議論が起こってくると思います。

 

以上、県民の皆さんの不安を少しでも解消できればと願いつつ、ご報告させていただきます。今後とも、県下の引き続き安全確保策に真摯に取り組みますとともに、エネルギー政策を所管する国に対して、地域から様々な申し入れや要請を行うとともに、四国唯一の原子力発電所立地県として、四国電力に対して徹底した安全対策を求めていきます。

 

平成23年3月17日
愛媛県知事 中村 時広


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