竹資源循環利用促進プログラム
(概要版)
平成17年3月
愛媛県
第1 プログラム策定の背景・趣旨
1 背景
近年、モウソウチクやマダケ等、多くの竹林が分布している里山では、竹資源の化石燃料等への代替、中国をはじめとする海外からの竹やタケノコの輸入量の急増などにより、国産タケノコの価格低迷、竹製品の需要量の減少、生産者の減少・高齢化等が大きく進行し、多くの竹林が放置され、里山と人間との関わりは希薄になってきています。
この結果、モウソウチクを中心に放置竹林が増大し、里山地域の農地やスギ・ヒノキ等の人工林に侵入するほか、竹の過密状態が生じ、今まで人間と里山の関係の中で培われてきた多様な自然植生が失われるとともに、水資源のかん養や山腹崩壊防止等、里山の持つ公益的機能の低下が懸念されてきています。
2 趣旨
20世紀における大量生産・大量消費・大量廃棄型の産業発展は、人々に豊かで便利な生活をもたらしましたが、それと引き替えに、地球温暖化、オゾン層の破壊、砂漠化、生態系の破壊など、深刻な環境問題をもたらしました。
21世紀においては、環境に与える負荷が少なく、再生産可能な資源を有効に、かつ繰り返し利用する循環型社会の構築が求められているとともに、地球温暖化防止のため、化石燃料から自然エネルギーへの転換が強く求められており、旺盛な繁殖力により、短期間で再生産可能な竹資源を生活資材やエネルギー資源等に有効に活用することは、今世紀に生きる私たち県民に課せられた重要な責務であります。
このため、本県の竹林が有する潜在力を活かしながら、適正な竹林整備と竹資源の有効活用を図るため、「竹資源循環利用促進プログラム」を策定し、竹対策を総合的に推進していくための仕組みづくり、啓発活動、実践活動等の方向を示し、県民との協働によって、放置竹林の増大が進行している里山の再生・創造を図ることとします。
第2 現状と課題
1 現状
(1)竹林の分布状況
竹林の大部分を占めるモウソウチクやマダケは、かつて農村における貴重な資源であったために、里山周辺に人為的に植裁されたことにより、その分布は地域的に偏りがあり、県下5カ所で調査した結果、この20年間の拡大率は平均で1.4倍でありました。
また、高解像度衛星の画像解析や空中写真判読により、本県の竹林面積を6,500ヘクタール程度と推定しました。
今後、竹林管理の放置状態が続けば、竹林拡大面積は2022年には、約8,100ヘクタール、2042年には、約13,000ヘクタールになると推定され、竹林の多くが分布する里山地域は、ますます竹林の単一植生となり、豊かな植生や公益的機能の低下が懸念されています。
(2)竹の利用状況
1960年代後半から70年代にかけて、本県の竹製品の多くがプラスチックや金属などの代替材に取って代わられ、竹材消費量は落ち込むとともに、安い中国や東南アジア産の竹製品の大量輸入により、県内の竹材生産量は大幅に減少してきています。
また、タケノコについても、安い中国産の輸入量の増大に伴い、生産量は減少の一途をたどっており、現在の市場流通を前提に生産拡大を図るには、中国産に対抗しうる価格水準が要求されていますが、現段階では、これに応えることができません。
なお、最近、全国的に、竹炭・竹酢液が土壌改良材、水質浄化、調湿、脱臭、健康増進などの効果があるとして注目され、一部商品化されています。
2 課題
(1)新たな担い手の育成・確保
多くの県民が里山に関わる機会を増やすとともに、竹林整備や循環利用を行う新たな担い手の育成・確保が重要です。
(2)安定供給体制の整備
竹資源を利用するに当たっては、多品種・少量生産を目指した未来型の経営が成り立つよう、それぞれの地域で恒常的に竹が利用でき、より少ない労力で必要に応じて供給できる体制整備が重要です。
(3)竹に関する意識啓発の促進
多くの県民に対して、あらゆる機会を通じて、竹に関する様々な知識を伝えるとともに、竹林の整備や竹資源の循環利用の重要性について意識啓発を行うことが重要です。
(4)情報ネットワークの整備
本県の竹材を利用し商品化するためには、情報の収集・発信することにより、新たな連携による活動展開を行うことが重要です。また、県内各地の企業、団体などの事業活動を支援・促進するため、情報のネットワーク化を図ることが重要です。
(5)需要開拓の促進
最近、国においては、環境施策を推進するための新たな制度が導入されてきていることから、産学官が一体となって、環境資材である竹製品の需要開拓を図ることが重要です。
(6)新規用途の開発
地球環境保全対策が活発化していく中で、竹素材、竹繊維、竹炭などを活用した製品が商品化され、多くの場所で設置、または利用されていることから、これら新たな取組に対して、産学官などが連携して参画することが重要です。
第3 竹資源の循環利用促進プロジェクトの基本方向
1 基本的な考え方
21世紀は環境の時代といわれ、国土のあり方を環境の側面から再考することが必要となってきています。
このような中で、里山地域に多く存在している竹林は、土砂の流出や台風等の自然災害から地域住民を守る「国土保全機能」を有するほか、その旺盛な繁殖力により、スギの壮齢林と同程度の「炭素固定能力」があるとも言われており、こうした竹林の機能・能力を活かすため、里山地域を単位に、地域住民をはじめ産学官等の支援・協力のもと、里山に関わるあらゆる主体の「参加」によって「循環」と「共生」の仕組みを具体化しつつ、竹資源の、循環利用と竹林の適正な維持・管理ができる地域づくりを行うこととします。
本プロジェクトは、竹林を含む里山の様々な機能・能力を活かし、@生物多様性のある豊かな自然生態系の形成、A二酸化炭素の吸収・固定に対応した竹資源の循環利用の促進、B竹資源を活用した竹利用技術の復活・創造、C地場産業の創出による雇用の場の確保等の具体的な成果を実現し、竹文化の再生と創造を目指すこととします。
なお、竹林の公益的機能を保全する役割は、国や地方公共団体が公的資金を投入して行うべきものでありますが、今後解明される竹林が果たす役割等を踏まえ、竹林の拡大を防ぐべき部分や保全管理する方法、あるいは早急に取組むべき対策のスケジュ−ルなどを検討する必要があり、その際には、地域の意志を生かし、行政等と協力しながら、対処することとします。

2 基本方針
竹資源の循環利用に当たっては、本県の竹林が県内の比較的まとまった特定地域の農山村の里山に集中して分布しており、また竹林整備や竹材利用に対する取組方が地域によって様々であり、県下全域を一律に捉えて推進することは現実的に困難であることから、まず現段階で施策化が可能な里山地域を推進地域として設定し、プロジェクト推進の拠点とします。
また、本県の竹林は、約6割がモウソウチクで、残りがマダケやその他の竹類で構成され、それぞれの特性を活かして、日常生活用品、建築用材、工芸品等に利用されているが、現在、緊急に対応が必要な放置林の大半がモウソウチクであることから、本プロジェクトの対象は、主にモウソウチクとします。
なお、モウソウチク以外の竹林も、里山の自然景観・植生等の構成要素の一つであることから、これらについても、それぞれの地域の実情に応じて、持続的管理と循環利用に努めることとします。
第4 プロジェクトの展開方向
推進地域を対象に、竹林の管理・生産体制の整備を推進するとともに、県民への意識啓発や竹資源活用に向けたネットワークの整備を行うほか、需要開拓と新たな利用開発を促進することにより、竹資源を活用した地域循環型社会の構築を目指すこととします。
1 竹林の管理・生産体制の整備
(1)竹林の管理体制の整備
里山オーナー制度を導入するとともに、地域住民、NPO等ボランティア、行政等が連携しながら、竹林の多くが分布する里山地域の放置竹林を適正に管理します。
(2)竹材の生産体制の整備
竹資源活用の用途に対応した竹材の伐採・搬出のコスト縮減等の実証試験を行うとともに、生産体制を検討し体系化します。
また、里山地域が主体となっての竹を活かした里づくりを行うために、里山地域住民、竹林所有者、森林組合、企業、行政等からなる「竹の里づくりの会(仮称)」を設置する。
2 竹に関する県民への意識啓発
(1)竹に関する普及啓発の推進
竹製品が身近な生活場面から消えて、竹への関心や知識が無くなっていることから、竹を活用する必要性・意義等について、広く一般県民に普及啓発する活動を推進します。
(2)竹の里体験学習活動の展開
竹に対する興味を抱くきっかけづくりの場を提供するため、環境教育やタケノコ掘り、竹玩具・竹炭づくり等の体験学習を展開します。
(3)竹林の持つ機能に対する評価の還元
竹林の機能・能力に対する正当な評価に基づいて、協力が得られる仕組みづくりを検討します。
3 竹資源活用ネットワークの整備
(1) 「えひめ竹資源循環利用促進検討会(仮称)」の設置
竹に関する情報を収集するとともに、需要開拓を検討するため、竹林所有者、企業、関係団体、行政等からなる「えひめ竹資源循環利用促進検討会(仮称)」を設置します。
(2)インターネットによる情報の収集・発信
竹の高度利用開発やビジネス活動をはじめ、国内外の竹に関する様々な情報を収集・発信するとともに、これを活かした事業化に取り組むため、インターネットによるホームページを運営します。
4 竹資源の需要開拓と新たな利用促進
(1)グリーン市場の開拓
平成13年度に施行された「グリーン購入法」の着実な推進や新たに「里山認証制度」の導入により、市場開拓を促進します。
(2)竹資源の新たな利用促進
地場産業での活用方法を検討するとともに、新たに事業化ができるよう、産学官が連携した取組みを進めます。
5 竹資源を活用した地域循環型社会の構築
(1)えひめ竹文化の創造
里山地域の住民、商工会、行政等と連携しながら、竹細工の伝統工芸の普及促進に努めるとともに、竹産地を中心に様々なイベントを開催するなどして、新たな「えひめ竹文化」を創造します。
(2)竹資源によるエコ・プロジェクトの推進
21世紀型産業として、環境への負荷が少ない竹の特性・機能を活かした新たな竹資源の生産・利用システムを構築することにより、竹資源のエコ・プロジェクトを推進します。

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