8 木材利用の留意点(3)


8.3 木造建築の防火設計

 火災については、木造建築は不利な面があるのは確かです。しかし、近年の工法や材料の開発や研究で解消されつつあります。火災の際に躰体の耐力が低下して崩れ落ちることに注目すると、木材は鉄骨より丈夫です。木材は断面が大きい場合、表面は燃えても内部までは達しないため、燃えても耐力の低下がゆるやかです。鉄骨の場合は急激に耐力が低下しています。

 ここでは、防火についての法的規制をまとめています。防火規定のうち、木造建築と重大な関係があるのは、次の3点です。

(1)耐火、準耐火などの構造規定
(2)不燃材料、難燃材料等の防火材料規定
(3)防火地域等の地域制限、建築物の用途と建築物の規模・用途等の関係規定


  

(1)耐火、準耐火などの構造規定


 建築物に要求される防・耐火性能については、耐火性能・準耐火性能・防火性能・準防火性能があり、それぞれ建築物の立地条件や規模、用途などによって、これらのうちのどの性能が要求されるかが細かく規定されています。

 それぞれの性能の順番で言えば、
  耐火性能 > 準耐火性能 > 防火性能 > 準防火性能   となります。

 そして、耐火性能が確保された構造を耐火構造、耐火構造またはそれと同等の性能があるとみとめられた構造で、かつ開口部などが法規で要求されている性能を有している建築物を耐火建築物といいます。耐火構造であるだけで、耐火建築物とはなりません。同様に準耐火建築物という用語もあります。しかし、防火性能については防火構造のみが、準防火性能については性能のみが用語として存在します。

これらの用語の定義とそれに関係りする技術的な内容を定めた法規は、次のとおりです。


  
防・耐火構造等の用語の定義に関連する法令
法第2条 関連法規1 関連法規2
耐火構造
第7号
令代107条

平12建告1432号
対火性能に関する技術的基準

可燃物燃焼温度を定める件
平12建告1399号 耐火構造の構造方法を定める件
準耐火構造
第7のニ
令代107条の2

平12建告1358号
準対価性能に関する技術的基準

準耐火構造の構造方法を定める件
平12建告1399号 耐火構造の構造方法を定める件
防火構造
第8号
令代108条

平12建告1359号
防火性能に関する技術的基準

防火構造の構造方法を定める件
平12建告1399号 耐火構造の構造方法を定める件
耐火建築物
第9号のニ
令代108条の3

令代109条

令代109条の

平12建告1360号
耐火建築物の主要構造物に関する技術的基準

防火戸その他の防火設備

遮炎性能に関する技術的基準

防火設備の構造方法を定める件
平12建告1433号


耐火性能検証法に関する算出方法を定める件


準耐火建築物
第9の三
令代109条


令代109条の2の2


令代109条の3

防火戸その他の防火設備

主要構造部を準耐火構造とした建築物の層間変形角

主要構造部を準耐火構造物とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準

平12建告1367号


平12建告1368号

準耐火建築物と同等の性能を有する建築物等の屋根の構造方法を定める件

床又わ直下の天井の構造方法を定める件
その他 法23条

令代109条の6
外壁

準防火性能に関する技術的基準
令代109条の2

平12建告1362号
法第21条第1項で定める部分

木造建築物の外壁の延焼の恐れのある部分の構造方法を定める件


用語の説明
 
○耐火建築物                    

 柱や梁、床、階段、屋根などの構造上重要な部分が、鉄筋コンクリートやレンガ等の不燃材料で造られているもので、延焼のおそれのある部分にある窓・扉に防火設備がある建物。
 従って、柱や梁、壁、床等の主要構造部を木や木質建材にすることは困難となります しかし、内装に木や木質建材にすることは場合によっては可能です。

○準耐火建築物

 耐火建築物以外の建築物で、柱や梁、床 、階段、屋根などの構造上重要な部分が鉄骨や木材で作られていて、それらが石こうボード やセメント板、モルタルなどの不燃材料で覆われているもの。または 、柱や梁等の表面が燃えても構造耐力上支障のない太さ(燃えしろ設計)の材料でつくられているもの。また、延焼のおそれのある開口部に防火設備(防火戸等)がある建物。


準耐火工法の例
準耐火工法の例


○防火性能(防火構造)               

 建物周囲で発生する通常の火災時に、外壁と軒が30分間「構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない」ことと「加熱面以外の面の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しない」こと。

○準防火性能

 建物周囲で発生する通常の火災時に、外壁と 軒が20分間「構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない」ことと「加熱面以外の面の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しない」こと。

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