■ 亜種(あしゅ)
国際動物命名規約が種より下位に唯一定める分類群。同一種の中に、形態、生活型などが異なる地域的なまとまりを持った集団がある場合、これを亜種と定める。 |
■ アンモシーテス
ヤツメウナギ類は幼生から成体へと変態するが、幼生期には目を持たず、口も吸盤状でなく、鰓穴もはっきりとは見えない形態をしている。こうした変態前の幼生期を指してアンモシーテスと呼ぶ。 |
■ 一時的水域(いちじてきすいいき)
増水後に残った水たまりや、減水期には干上がってしまう水域など、流域と繋がってある特定の期間のみ出現する水域。外敵の侵入が困難である反面、浅くて水温の変動が激しいといった特徴があり、平地に棲む魚の中にはこうした場所を積極的に利用して繁殖を行うものがある。メダカやドジョウなどはその代表であり、圃場整備が進むまでの水田環境は、そうした魚種に絶好の一時的水域として機能していた。 |
■ 一次的淡水魚(いちじてきたんすいぎょ)
生涯淡水域中で生活する魚種(純淡水魚)の内、塩分耐性がないか、もしくは著しく低く、海水中での生存が困難な魚種。系統的に陸水起源で、海洋への侵出がない、もしくは少ない分類群に多くみられる。一次性淡水魚ともいう。 |
■ 遺伝子汚染・遺伝的攪乱(いでんしおせん・いでんてきかくらん)
ある生物種の分布域内に、繁殖を行う集団がいくつかに分かれて存在している場合、それら集団間には何らかの遺伝子組成の変化が認められる場合がある。これは、集団の一部が隔離されたり、他集団との交流が乏しくなった場合に、偶然による遺伝子組成の変化や、新たな環境下での適応的な遺伝子の選択などが起こることによって生じる。魚類においてこうした傾向は、海水魚よりも淡水魚、淡水魚では回遊魚よりも純淡水魚でより強く、川ごとに別種レベルの分化を遂げている場合もある。こうした遺伝子組成の変化は、種が現在の分布域を形成するに至った変遷を表す重要な証拠であり、種が新たに分化するきっかけの1つでもある。こうした分集団間で安易な移植、混合を行うと、各集団の持つ遺伝子の独自性が失われ、種の分化が妨げられると共に、異なる適応価を持つ集団との混合による集団全体の適応力の低下が懸念される。また、交配可能な近縁亜種間では、混合による雑種化で亜種そのものが消失する。こうした遺伝子レベルでの汚染、攪乱は基本的に不可逆であり、後に問題が起こっても元の状態に戻せないことが重要な問題である。 |
■ 追星(おいぼし)
主にコイ科魚類の一部の雄において、繁殖期に頭部を中心として表皮が肥厚した突起物が現れ、これを追星と呼ぶ。 |
■ 河川型(かせんがた)
回遊魚が陸水域に留まった陸封型のうち、生涯河川内で生活するものを河川型と呼ぶ。 |
■ 感潮域(かんちょういき)
河川の下流部では、川の水面と海水面の高さが近くなり、満潮時には海水が河川へ逆流する。このような、河川にあって潮の満ち引きの影響を受ける範囲を感潮域という。河川においては、普通、汽水域よりも広い意味で用いる。 |
■ 基産地(きさんち)
生物の学名を記載する際に、その根拠となる基準標本(模式標本)が得られた地点。模式産地ともいう。 |
■ 鰭条(きじょう)
鰭膜と共に硬骨魚類の鰭を構成する要素。鰭条はさらに、棘(きょく)と軟条(なんじょう)に区別される。棘は硬質で節がなく、軟条は一般に柔らかく節がある。 |
■ 汽水域(きすいいき)
河川などからの淡水と、海水が混合して形成される中間的な塩分濃度の範囲を指す。一般には塩分濃度0.2〜30psuの範囲が含まれる。普通、河川の下流域〜河口沿岸域、内湾などに形成される。 |
■ 汽水性淡水魚(きすいせいたんすいぎょ)
主に塩分の影響を受ける汽水域で生活し、淡水域、沿岸域にも侵入するもの。マハゼ、シマハゼ類、チチブモドキなど。 |
■ 銀毛(ぎんけ)
サケ・マス類の稚魚、若魚が降海する際に、体側のパーマークが消え、体色が銀色になり、鱗が剥がれやすい状態となること。スモルトとも呼ばれる。 |
■ 近交弱勢(きんこうじゃくせい)
集団内で繰り返し近親交配が行われると、体の大きさや耐性、多産性など、生活力に関わる能力が低下する現象を言う。近交弱勢の現れ方は生物の種や集団の大きさなどによって異なるが、飼育下で少数の親を起源として意図的、非意図的な選抜により繁殖を繰り返した集団は遺伝的に均一化、近交化する傾向がある。こうした飼育集団が野外に添加され、そこに棲む野生集団と混合すると、もとの野生集団を含めた集団全体の適応能力を低下させる恐れがある。 |
■ 偶来性淡水魚(ぐうらいせいたんすいぎょ)
本来は海水魚であるが、生活のある時期あるいは不特定期に、偶然あるいはしばしば汽水域や淡水域へ侵入するもの。ボラ、クロダイ、クサフグなど。 |
■ 降海型(こうかいがた)
同一種内に陸水域と海域を往来しながら生活するものと陸水域のみで生活するものが存在する場合、前者が一旦海に下ることから、降海型と呼ばれる。 |
■ 降河回遊魚(こうかかいゆうぎょ)
通し回遊魚のうち、成魚が産卵のために海へと降るもの。ウナギ、アユカケなど。 |
■ 口角(こうかく)
顎の後端部。上顎と下顎の基点となる部分。 |
■ 降湖型(こうこがた)
通し回遊魚の中には、湖や池を海の代替地として利用し、これらと河川間を往来しながら生活するものが存在する。このようなライフサイクルをもつものを、降湖型と呼ぶ。 |
■ 骨質盤(板)(こつしつばん)
ドジョウ属、シマドジョウ属の多くでは、雄の胸鰭第二条基部の上片が後方へ向かって厚くなる。これを骨質盤と呼び、円盤型、烏口型など種により独自の形状を表す。 |
■ 交接器(こうせつき)
カダヤシやエイの仲間等、体内受精を行う魚類において、雄の臀鰭の一部が棒状に変形したもの。交尾器ともいう。 |
■ 婚姻色(こんいんしょく)
産卵期に特徴的に現れる体色。多くは雄に現れるが、ハゼ科魚類の一部等では雌に現れる。 |
■ 鰓耙(さいは)
魚類の鰓の内部器官で鰓の骨(鰓弓)の前方に並ぶ突起物。水と共に取り込んだ食べ物をより分け、異物を除去するはたらきがある。数や形状が種ごとにほぼ一定で、有用な分類形質として用いられる。 |
■ 産卵管(さんらんかん)
タナゴ類やヒガイ類の雌は、活きた二枚貝の体内に卵を産み付けるため、繁殖期には総排泄腔より管が伸びてくる。この管を産卵管と呼び、種により色や長さ等が異なっている。 |
■ 仔魚(しぎょ)
孵化した後、各鰭の条数がすべて成魚と同じ数になるまでを指す。卵黄を吸収する前後で前期仔魚と後期仔魚に区分される。 |
■ 死滅回遊魚(しめつかいゆうぎょ)
本来の分布の中心から遠く離れた場所に海流によって分散してくるが、分散した先で再生産を行うに至らず、一代限りで死滅する魚を指す。無効分散とも呼ばれる。 |
■ 周縁性淡水魚(しゅうえんせいたんすいぎょ)
河川下流域、汽水域などに見られる魚種。汽水性淡水魚と偶来性淡水魚に分けられる。 |
■ 純淡水魚(じゅんたんすいぎょ)
生涯、河川や湖沼等の淡水域のみで生活する魚種。塩分耐性のない一次的淡水魚、塩分耐性のある二次的淡水魚および通し回遊魚が淡水域で一生を送るように変化した陸封性淡水魚に区別される。 |
■ 縦帯(線)・横帯
魚の縞模様の方向は、頭を上にしたときの方向であらわす。たとえばイシダイは横縞で、イサキは縦縞である。 |
■ 全長(ぜんちょう)
頭部先端から尾鰭末端までの長さ。尾鰭のない魚などでは、体の一番後端までの長さ。これに対し、体長(標準体長)とは頭部先端から脊椎骨末端までの長さであり、通常は尾鰭を持って左右に折り曲げたときにできる折り目の位置までを指す。 |
■ 遡河(そか)
海や湖に生息する魚種が、河川へと遡ること。また、仔魚期に海中生活を送った魚種が成魚の生息域である淡水域へ遡ること。 |
■ 遡河回遊魚(そかかいゆうぎょ)
通し回遊魚のうち、成魚が産卵のために河川へ遡るもの。サケ、カワヤツメ、シロウオなど。 |
■ 体形(型)(たいけい)
体の外観的形態。コイやマダイのように体が左右方向に平たく、背腹方向が高い体形(型)を側扁型、マゴチやアンコウのように背腹方向が押しつぶされたような体形(型)を縦扁型という。 |
■ 稚魚(ちぎょ)
仔魚期の後、鱗が完成して成魚と似た色斑・形態をあらわすようになるまでを指す。 |
■ デトライタス(detritus)
水中に沈んだ生物の死骸、排出物、破片、その分解されたもの、およびそれらの分解に関与する微生物など微細な有機物を総称したもの。 |
■ 通し回遊魚(とおしかいゆうぎょ)
河川や湖沼等の陸水域と海域を規則的に往来しながら生活するライフサイクルをもつ魚類の総称。ウナギやアユが代表的。 |
■ トリクチス(tholichtys)
クロホシマンジュウダイ科とチョウチョウウオ科の仔稚魚は、成魚の形態とは異なり、巨大な頭部に角状の突起と、硬い骨辺を備えた特徴的な形態をしている。この仔稚魚期の形態をトリクチスといい、この段階にある仔稚魚をトリクチス幼生と呼ぶ。 |
■ 二次的淡水魚
生涯淡水域で生活するが、塩分に対して耐性があり、一時的に海水中でも生存できる魚種。メダカ、ティラピア類等、系統的には海洋起源であるが、一部が淡水域に侵入して分化した分類群に多い。二次性淡水魚ともいう。 |
■ パーマーク
幼稚魚期のサケ・マス類の体側に特徴的に見られる斑紋。アマゴでは小判を縦にした型の青いパーマークが体側に並ぶ。 |
■ 鰭(ひれ)
体側筋と共に遊泳時の推進力を発揮し、姿勢の維持・調整、ときには外敵からの防御手段ともなる外部器官。鰭は左右対をなすもの(対鰭:胸鰭・腹鰭)と、対をなさないもの(不対鰭:背鰭・臀鰭・尾鰭)からなる。魚種により、いずれかの鰭がないもの、各鰭が互いに繋がっているもの、鰭の一部が遊離するものなど、多岐にわたっている。 |
■ 不分岐軟条(ふぶんきなんじょう)
軟条の内、先端が分岐しないもの。コイ目、ナマズ目等の魚類は、鰭の前部にある不分岐の数軟条が接着して硬質化しており、棘状軟条とも呼ばれる。 |
■ 吻(ふん)
上顎、下顎、およびその周辺を併せた部分。一般には目の前端より前。 |
■ 分岐軟条(ぶんきなんじょう)
軟条の内、先端が分岐したもの。 |
■ 吻孔(ふんこう)
吻の背面あるいは側面にある鼻腔の開口部。前後に1対づつ計4個の開口部をもつものが多く、それぞれ前吻孔、後吻孔と呼ばれる。 |
■ 未記載種(みきさいしゅ)
ある生物種が国際基準に乗っ取って学術的に命名されることを記載という。未記載種とは、既知種と異なる種であることが明らかであるが、記載が行われておらず、学名が未決定な状態にある種を指す。 |
■ 幼魚(ようぎょ)
一般に、稚魚期以降成魚になるまでを指し、仔魚や稚魚のような厳密な区分ではない。最初の成熟を迎えるまでを未成魚と呼ぶ。 |
■ 陸封(りくふう)
本来は陸水域と海域を往来しながら生活していた種が、何らかの物理的障害の出現により両者間の往来を妨げられ、河川や湖沼等の陸水域のみで生活するようになること。 |
■ 陸封性淡水魚(りくふうせいたんすいぎょ)
通し回遊を行う集団の一部が陸水域に隔離され、陸封型として再生産を繰り返すようになった集団。陸封型イトヨ等のように、祖となる通し回遊型集団と別種レベルに分化しているものもあれば、サクラマスに対するヤマメのように種内の地域集団レベルに留まっているものもある。 |
■ 両側回遊魚(りょうそくかいゆうぎょ)
通し回遊魚のうち、産卵とは関係なく海と陸水域を行き来するもの。通常、河川で孵化した仔魚が直ちに海へと降り、幼期を沿岸で生活した後成長しながら河川を遡る。アユ、ハゼ科魚類など。 |